新月の夜。
月は空から姿を消し、代わりに星々が冴え冴えと瞬いていた。
チャップは縁側に座り、冷えた夜気の中でじっと空を見上げていた。
蟹座満月で満たされた心は、少しずつ沈み、
今夜は山羊座の新月――
「形にする力」「現実に根を下ろす始まり」のとき。
風は乾いていて、土の匂いが強い。
山羊座の新月は、感情よりも覚悟を問う月だ。
チャップは静かに、前足を揃えた。
願いごとを声に出すことはしない。
山羊座の新月では、誓いは胸の奥で立てるものだから。
「続けること」
「積み重ねること」
「逃げずに、向き合うこと」
それは派手な願いではない。
けれど、この月が最も力を与えるのは、
長い時間をかけて育てる決意だった。
チャップのそばには、
乾かしたローズマリーとベイリーフ。
山羊座に対応するハーブたちは、
集中力と持続力を静かに支えてくれる。
新月は見えない。
けれど、見えないからこそ、
「これから先の道」を描く余白がある。
遠くで時計の針が、ひとつ進む音がした。
その音は、未来への合図のようだった。
チャップはゆっくりと目を閉じる。
今日立てた誓いは、
すぐに花開かなくてもいい。
山羊座の新月は、芽ではなく“根”を育てる月。
地中深くに根を張ったものだけが、
やがて、誰にも揺るがされない強さを持つのだから。
夜はまだ長い。
そして、物語もまた、ここから静かに続いていく。
