1946年、男は兵庫県に生まれる。
小学校から高校まで地元の学校へ通い
その後上京して東京理科大学で
物理学を専攻する。
卒業後は就職をせずに、
知人から譲り受けた洋食店を経営。
しかしこの譲り受けた店は人気が無く、
いつ潰れてもおかしくない状態であった。
男は、終電に遅れた客に的を絞り、
夜中だけ営業。
しかしお客同士の店内での喧嘩のとばっちりで火事になり、お店が焼失。
再建費用を何とか捻出し、
再出発した洋食レストランも不振を極める。
どうしてよいものか分からず、
困り果てて気分転換にイタリアへ旅行。
そこで地元のレストランを見て、
一つのヒントを得る。
「シンプルな調理で毎日でも飽きずに食べられる料理こそ“おいしい料理”の本質だ」
帰国後、自分の店をトマトやオリーブオイルなど、
健康維持に役立つ素材を用いるイタリア料理を出すお店にする。
「美味しいものしか出さない」
大学時代に専攻した物理学を活かし、
味覚と脳波との関連を研究し、
味を数値化した。
しかし、一向に客足は増えず、
不振を極めたので、
思い切って30%の低価格化に踏み切る。
すると「美味しいのに安い」と評判になり、
一気に繁盛したので、
店舗を増やす拡大路線を採る。
その後、日本一の低価格イタリア料理専門の
ファミリーレストランに成長。
男の名は、正垣泰彦。
イタリアンレストラン「サイゼリヤ」の創業者。
現在は海外345店舗を含む、
18000店舗を展開。
人気のミラノ風ドリアは税込み299円。
ワインも定評があり、口の肥えたセレブでも
サイゼリヤのワインはレベルが高いと、
口を揃えて言う。
それでいて、グラスワインは一杯100円。
サイゼリヤには100を超えるメニュー商品があるが、厨房にはコンロやオーブンなど
一切火を使わずに全ての料理を提供できる。
料理の作り方まで科学しているのだ。
正垣氏の経営哲学として
後継者についてこう語る。
「企業を成長させるためには、息子を次期社長に選んではならない。創業者が成長させた企業を受け継ぐ二代目社長の役割は、安定成長させる構造改革をすることだ」
2009年、正垣氏はデリバティブ取引で多大な損失を出し、代表取締役社長を引責辞任して、現在は代表取締役会長に就任している。
また社長を辞任してからは、高校や大学など
若者に向けて講演する機会も増えているが、
必ず若いうちにたくさん失敗することが
人生を豊かにする秘訣だと語っています。
まさに「若いうちの苦労は買ってでもしろ」ですね。
『おいしいから売れるのではない
売れているのがおいしい料理だ』
by 正垣泰彦(サイゼリヤの創業者)
良い週末をお過ごし下さい。