ロミと妖精たちの物語283 Ⅴー81 生と死の狭間に③ | 「ロミと妖精たちの物語」

「ロミと妖精たちの物語」

17才の誕生日の朝、事故で瀕死の重傷を負いサイボーグとなってし
まったロミ、妖精と共にさ迷える魂を救済し活動した40年の時を経て
聖少女ロミは人間としてよみがえり、砂漠の海からアンドロメダ銀河
まで、ロミと妖精たちは時空をも超えてゆく。

 

 

描かれた行き先は東京へ、青山の高層ビルの屋上に祀られた神の社(やしろ)へと続いている。マリアとミドリは心眼を開き、東方を指し示めす大天使に感謝のエンパシーを捧げた。

 

聖少女マリアと妖精たちは、まるで聖母のように優しく微笑む大天使ガブリエラに見守られてワームホールに入ると、瞬時に天空を翔け抜けてゆき、高層ビルの屋上に降り立った。

 

そこには、メグミとケージ双子の父親であり、ケージローの母違いの兄、そしてこの高層ビルを所有する教団の理事長でもあるザ・ワンの研究者、ケーイチロー・エジマが出迎えていた。

 

ケーイチローは八百万(やおろず)の神々に感謝の祈りを捧げながら、2年前のTSウイルスとの戦いを勝利に導いてくれた聖少女マリアの前に跪(ひざまず)き、彼女の優美な白い手を両手で包むと、その指先に微かに触れるキスをした。

 

マリアは、東の教会の導師であり前理事長でもあったメグミたちの祖母、東の巫女王オフクロ様が、人類を滅ぼそうとする悪鬼の群れとの戦いに命を捧げ、今はその魂が眠っている社(やしろ)に向かって手を合わせ、頭(こうべ)を垂れて感謝と哀悼の祈りを捧げた。

 

祈りの後、マリアは降り注ぐ真夏の陽光から妖精たちを守るようにして思念の翼を開き、ケーイチローとケージ、そしてメグミの女神像を胸に抱いている可憐な巫女少女ミドリと、ケージに身を貸し眠っているケージローを含めた5人の戦士たちを、愛と癒しのエンパシーで包んだ。

 

 

 

 

 

 

高層ビルの南に広がる森はこの敷地の緑地帯となっており、その一角に石垣と植栽に囲まれた古い洋館がある、かつてこの館の敷地を利用して高層ビルが建てられたのであろう、マリアたち一行は、ケーイチローの秘書のマリーさんに案内されて、古い洋館の中に入った。

 

リビングに落ち着いて、マリーさんはお茶とお菓子を出してくれたあと、久しぶりに会うケージに優しく言葉をかけてくれた、そして最後に耳元で囁いた。

「ケージさん、この逞しい美丈夫の姿は、あなたらしく無いわね」

「そうかな、やっぱり僕も少し落ち着かないよ」

 

「強いあなたより、もの静かで優しいあなたの方が、メグミさんも安心するのでは?」

「できたら、早く僕の身体を見つけるように、親父に言ってください、マリーさん」

マリーさんは微笑み、優しく彼の身体を抱いてくれた。

 

二人のやり取りを聞いていたミドリは、口元を緩ませて小さく微笑んだ。

 

そして、高層ビルのオフィスで用事を済ませてから、遅れて洋館にやって来たケーイチローと入れ替わるようにして、いつまでも若々しい美人秘書のマリーさんは部屋をあとにした。

 

ケーイチローはソファーに座ると、ケージローを目覚めさせるようにマリアに言った。

マリアはテーブルに置かれた女神像を見ながら応えた。

「それではメグミの守り人である、ケージの魂の寄る辺は何処(いずこ)にと、お考えですか」

 

マリアの言葉に、父ケーイチローは息子ケージが宿る弟ケージローの顔を見た。

「ケージ、お前の寄る辺となるアンドロイドはまだ試作中だ、完成するまで今のまま、ケージローの中で眠っていてくれないか、そんな遠い話ではない」

 

父の言葉に、彼は女神像を見たが、メグミは何も応えてはくれなかった。そしていつの間にか彼の手を握ってくれていた巫女少女ミドリを見た、ケージの不安そうな表情にたいして、巫女少女は黙ったまま、頷くようにして微笑んでくれた。

 

ケージは父に向かって返事はせず、聖少女マリアの眼を見て思念を放った。

 

――マリア、僕はあなたに従います。

 

彼の思いはマリアの中にいるメグミにも届いた。

 

 

次項Ⅴー82に続く

 

 

(お借りした動画です)

 

 

 

 

 

 

 

15年前に書いた愛の妖精ロミ・アンドロメダの物語り

 

神を見失った悲しき魂たちを真っ直ぐに見つめ

 

全てを受け入れてその腕で抱きしめてくれるロミ

 

愛と癒しのエンパシーで全てを包み込む聖少女ロミ

 

そして愛すべき妖精たちの物語り

 

アメブロさんに初めて掲載したのは

4年前の1月からでした

物語のスタート、よろしければ

 

どうぞご覧ください。