ロミと妖精たちの物語113 Ⅲ-45 Amore愛の行方⑪ | 「ロミと妖精たちの物語」

「ロミと妖精たちの物語」

17才の誕生日の朝、事故で瀕死の重傷を負いサイボーグとなってし
まったロミ、妖精と共にさ迷える魂を救済し活動した40年の時を経て
聖少女ロミは人間としてよみがえり、砂漠の海からアンドロメダ銀河
まで、ロミと妖精たちは時空をも超えてゆく。

写真動画はお借りしました

 

 

 

三つ子たちの精神的な父親、マックス教授が天国への階段を昇り終え、その入り口が閉じてしまうと、マリオはロミの腕の中に抱かれながら、目を閉じて肩を震わせていた。

 

母方の遠いご先祖である月依姫と玉生丸、そして血は繋がらずとも父と思うマックス教授にも、マリオは神の使者であり神の子と言われたあの人の姿を借りて対話をし、それぞれの思いを聞きとり、誤解の縛めを解き、神を求める心を開くことができた。

 

そして遠い過去のご先祖様と父親の三人を、ロミとマリアに見守られながら、三つ子の姉弟、真梨花、宏一と共に見送ることが出来たのだ。

 

ロミは、少年の姿に戻っているマリオの細い顎を摘まんで上を向かせた。

「マリオ、あの方たちに対して、あなたはしっかりと対応したわね、ありがとう」

 

マリオはいつものように表情を変えず、ロミに聞き返した。

「ロミ姉さん、どうして僕を神の使者、あの方の姿に変えて話をさせたのですか」

 

その言葉に、ロミは一瞬戸惑い、視線を足元に落としたあと、壁画を見上げながら言った。

「私には分からないわ、たぶんあのミルクマンのせいだと思う」

 

腕を放したマリオの傍から、マリアと真梨花に近寄り、二人の手を握りしめた。

「さっき、ミルクマンが私を包んで、玉生丸の刃から守ってくれたでしょ。その時彼は言ったの、ロミ、君はまた無茶な事をするって、まるで生徒を叱る先生みたいにね」

ロミはそう言いいながら、妹たちに頬を寄せた。

 

 

 

 

 

そしてロミは壁画に向かい、その上方にあるアンドロメダ銀河を見ながら言った。

 

「私は、最初からミルクマン、いえスノーマンの正体はなんとなく分かっていたの。彼はね、私が困ったときにしか来てくれないのよ。だからねマリオ、そのミルクマンが、あなたにも必要な時に力を貸してくれるのだと思うわ、さっきもそうよ」

 

ロミは遠くを眺めるように視線を外して言った。

「でもね、彼はそれが無事に済むとそのまま消えて、またどこかへ行ってしまうの」

 

 

5フィート3インチの地球サイズに戻ったマリアが、ロミの手を取りその頬にキスをした。

「では、あのミルクマンはトーマスだったの?可哀そうなロミ」

「ありがとうマリア」

 

ロミは自分より2インチ低い、同じくらいの背丈で並んだマリアとマリオの二人を、両腕を伸ばして抱きしめた。

マリオは恥ずかしそうに、顔を俯けたが、マリアが彼の頬にも柔らかなキスをした。

そして真梨花もロミの背後からロミを包み、宏一と碧もその輪に加わった。

 

「みんな、本当にありがとう、でも私は大丈夫よ。さあ、山荘に戻りましょう」

 

ロミの言葉を聞いて、三つ子の姉弟たちも漸くホッとしたように、みんな笑顔を取り戻した。

 

「あっ、見て、壁画に月依姫が戻ってる」真梨花が言うと、宏一が続いた。

 

「ほんとだ、玉生丸もオオカミじゃなく、最後に見せた武人の姿になって姫を見ている」

 

「私たちのご先祖様よ」

ロミがそう言うと、みんなは壁画に手を合わせて祈りを捧げた。

 

 

 

 

マリアはドラゴンボウルの光を壁画に送った。

 

地表に立つ月依姫に光が届くと、姫の上げている両手からゆっくりと、壁に描かれたアンドロメダ銀河へと続く渦巻きルートに沿って、虹色の光の粒子が延びて行き、やがて光が届くと、アンドロメダは赤々と光芒を灯した。

「二人は同じ神の国へ行ったのね」

 

そして、ロミを中心に五芒星系の形に円陣を組むと、ロミは思念を使った。

 

――フィニアン、お願いね。

 

するとフィニアンのトネリコの杖が頭上に現れ、クルリと円を描くと、光の粒が6人を包んだ。

 

――ねえロミ、聞いてくれる?

――なあに、マリア

 

――私は地球に残るわ

――え、いいの?

――でもどうして?

 

――この2週間で地球人化が進んで、もうザ・ワンに適応できる身体では無いみたいなの。

 

――そうね、身体も小さくなってしまったし、でもローダン船長が悲しむんじゃない?

 

――だってもう2百年も離れていたのよ、それに私の気持ちを分かってくれると思うわ

 

――マリア、ほんとうに、それでいいの?

 

――うん、それに、この子が気になって心配なの、私が守ってあげなくては

――ねえ、可愛いマリオ。

 

そう言いながら、マリアは弟のようにマリオを抱き包んだ。

 

――あらまあ、そういうことなのね、

――わかったわ世界一周の旅行が終わって、南極のアムンゼン・スコット基地へ戻ったら

――、ローダン船長に話してみましょう。

――あなたはアイルランドの女神、メーヴ女王の娘でもあるしね。

 

――ありがとう、ロミお姉さん。

 

ロミはこの2週間に起こった出来事、そして出会った人々のことを思った。

 

そしていつか、初恋の人トーマスが自分のもとに戻ってくることを信じて、フィニアンの光の籠の中で揺られながら、遠いアンドロメダ銀河への思念の旅路を思い描いた。

 

 

――See You ――

 

 

次項Ⅲ-46 第3部エピローグに続く

 

 

 

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想像を超えた迫力ある演出に

圧倒されたのを憶えております

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