ロミと妖精たちの物語88 Ⅲ-20 Amore心の旅路⑥ | 「ロミと妖精たちの物語」

「ロミと妖精たちの物語」

17才の誕生日の朝、事故で瀕死の重傷を負いサイボーグとなってし
まったロミ、妖精と共にさ迷える魂を救済し活動した40年の時を経て
聖少女ロミは人間としてよみがえり、砂漠の海からアンドロメダ銀河
まで、ロミと妖精たちは時空をも超えてゆく。

写真と動画はお借りしています

 

 

 

マリアが手に持つドラゴンボウルの中心に、虹色の光の粒子が渦を巻いている。

 

北半球の渦は地球の自転に従い早く回る南側に引きずられ遅く回る北側に向かって渦が出来るため、反時計回りのいわゆる左巻きに回転するはずなのだが、この球体に現れた渦は逆に向かって、右巻きの渦になっていた。

 

科学者でもある駐英米国大使キャサリンは、マリアとユリア二人の王女にそのことを話した。

「これは仮説にすぎないと思って聞いてちょうだい」

そう言ってキャサリンは説明した。

 

「さっきまで、マリアが持っているこの球体の中には何も無かったのに、ユリア、あなたが走るのを止めてから光の粒子が現れた。そしてあなたが人間の姿に戻るとともに、光の粒子は渦を巻き始めたわね」

 

「それも地上にいた時はコリオリの法則のとおり、中心に向かって左巻きの渦が出来ていたのに、あなたが人間の姿になってからは右巻きに回っている、それも外に向かって、まるで遠心力が働いているみたいに」

 

キャサリンは二人の少女神に、まるで高校生に講義をするように、ゆっくりと話をした。

 

「ひとつ考えられることは、このボウルから何かが飛び出そうとして、逆回りの遠心力が働き出していること。そして、もうひとつは、迷宮の中の時間が逆行して、私たちも過去へ戻っているのかもしれないということ」

 

「さてマリア、ここから先はイリュージョン、教師としてあなたたちに教えることはもう無いのよ、あとはあなたのエンパシーパワーでその答えを導き出してちょうだい」

 

「キャサリン先生、もしかして怒っているの?」

マリアはキャサリンの腕を掴んで、俯きながら応えた。

 

「まさか、そんなことではありません。マリア、そしてユリア、先生はこの現象にたいして呆れているだけよ。私は自分が何者であるか、わきまえることにしたの、あなたたち宇宙人みたいなスーパーガールの前ではね」

 

そう言った後、キャサリンは二人の女生徒をしっかりと抱きしめた。

「とにかく、ボールはあなた達に投げ返したわ、お願いね、私はあなた達を支えます」

 

「分かりました、私はもう一度ユニコーンに戻ってやりなおします」

ユリアはなぜか、キャサリン先生をがっかりさせたくなくて、そう言ってしまった。

 

 

 

 

 

「だめよユリア、そういう意味ではありません。あなた達二人が協力して、この災難を乗り越えなくてはいけないと思うからなの、あなたはようやく人間の姿に戻れたのですからね」

 

「もう一度言います、マリア、ユリア、私は二人が協力し合えば、きっとこの問題を解決出来ると信じています。大丈夫、あなた達ならうまくやれます」

キャサリン先生は、二人の手を握り、その大きな瞳で見守ることにした。

 

マリアはユリアに向き合い、ユリアの手と自分の手を繋げ、4つの手のひらでドラゴンボウルを支えながら、思念を使ってユリアに言った。

 

 

――ユリア、あなたのユニコーン姿を見た時も、なぜか他人とは思えなかった。私とロミ姉さんも会って話をするようになってから、まだ1週間しか経っていないのよ。

――でもロミ姉さんのエンパシー活動に揺り動かされた私は、もうロミ姉さんとは強い絆で結ばれた姉妹のような関係になったと思うの。

――こうしてあなたと会えたことも、きっと何か深い繋がりがあるからだと思います、ユリア。

 

そして二人は目を閉じて心眼を開いた。

 

科学者であり教育者そして駐英米国大使のキャサリン・ロバーツも、覚えたばかりの心眼を開き、愛と友情を感じる可愛い女生徒たちを見守った。

 

 

      

 

 

次項 Ⅲ-21 Amore心の旅路⑦に続く

 

 

*ハートの地球☆さくら学院2014年度の生徒たち

MOAは生徒会長、YUIはプロデュース委員長でしたね