ワクチン接種後の死亡や後遺症はなぜ議論されず隠されるのか…医師からは多くの事例報告(鳥集徹)

 厚生労働省に報告された新型コロナワクチン接種後の死亡事例は1963件、医療機関から報告された死亡事例は計8333件に上っている(予防接種開始の2021年2月17日から22年12月18日まで)。 【写真】新型コロナ5類移行は昨年末から結論ありき…政府「国民の命より金目」の魂胆ミエミエ  しかし、現在までに接種後死亡で政府から因果関係が認められた事例は一例もない。また、政府も医学界も、ワクチンによって起こった長期的な体調不良、いわゆる「ワクチン後遺症」の健康被害があることを公式には認めていない。  そのため、接種後に死亡した人や健康を害した人がいても、ワクチン推進側から、「ワクチンを打っても打たなくても、人間は一定の割合で死亡したり病気を発症したりする」「接種後の有害事象は幅広く報告されており、ワクチンのせいとは言えない」と反論する声が聞こえてくる。  確かに、厚労省に副反応疑いとして報告された事例のすべてが、ワクチンが原因とは言い切れないだろう。だが、医師や専門家であったとしても、すべてが「ワクチンが原因ではない」と断言することもできないはずだ。  それに、実は少なくない数の医師が、このワクチンによって病気が発症・悪化した事例、あるいは死に至った事例を経験していることを示す事実がある。  拙著「薬害『コロナワクチン後遺症』」(ブックマン社)でも触れたが、ワクチンと関連性があると考えられる事例の症例報告が、国内外の論文や学会で多数公表されているのだ。  実際、米国国立医学図書館が運営する論文検索サイト「パブ・メド(PubMed)」で「コロナワクチン 有害事象(Covid-19 vaccine adverse event)」と検索すると、1月末現在、2204件もの医学論文がヒットする。そのタイトルを見ていくと、接種後に起こった心筋炎や自己免疫疾患、神経筋疾患、皮膚疾患、血小板減少症などの症例報告がずらりと並んでいる。  また、新型コロナワクチン接種事業の即時中止を求める医師、歯科医師、獣医師など1385人(1月末現在)が所属する「全国有志医師の会」の調査によると、国内の医学界においても、21年12月~22年9月の間に、少なくとも318件のワクチンに関連する症例の報告が行われている。  一部公表されている報告の概要(抄録)を見ると、医師たちがワクチンと接種後に発症した疾患との間に、明らかに関連性があると考えていることがわかる。たとえば日本腎臓学会では、接種後に血尿が出たり、血管炎を起こしたりする事例の発生が報告され、学会内では公然と議論されている。しかし、こうした重大な事実を、政府も医学界も大手マスコミも伝えようとしない。不都合な事実が国民に知られると、接種をためらう人が増えると恐れているのだろう。  だが、国民の健康に関わる重大な事実を隠そうとしているのなら、本末転倒だ。これほどの数の症例報告があるのに、ワクチン接種後の有害事象をいつまでも「因果関係不明」「健康被害はない」と言って、済ませることができるだろうか。 (鳥集徹/ジャーナリスト)