全盲のマウスが視力を​取り戻す
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人もやがてそうなります。
人類は、あらゆる病気を科学の力で克服します。






背景:
多能性幹細胞は体内のどのような細胞へも分化することができるため、将来の再生医療への利用が期待されている。現在様々な障害に対しての臨床試験が行われているが、ある組織全体を治療できるほどのものは実現していない。

要約:
幹細胞を利用した眼の治療では、網膜の色素性内壁の移植は臨床試験が行われているが、網膜の複雑な光受容細胞を再生させることには成功していなかった。そこで、オックスフォード大学のRobert MacLaren博士率いる研究チームによって、光を失ったマウスの感光性の網膜層を再生させることに成功した。

ヒトの中途失明には様々な原因があるが、網膜色素変性症は3大原因の1つに数えられるほど多発する。網膜色素変性症患者の網膜内では、視細胞が徐々に変性していきやがて失明してしまう。そこで彼らは、網膜色素変性症と同様の症状を持ち、完全に光を失ったマウスを利用して研究を行った。

これらのマウスの眼に、網膜の細胞へと分化を始めた幹細胞を移植したところ、2週間後には光を感受できる網膜層が新たに形成され、神経細胞との連結も再生した。実験では、マウス12匹中10匹が光への反応に改善が見られた。実際にこれらのマウスは、光と闇の違いを全く認識できていなかったが、治療後には光を避ける健康なマウスと同様の振舞いを見せた。

この技術をヒトへ応用するには、患者自らの皮膚や血液から得られるiPS細胞の利用が望ましい。基本的な手法はそのままヒトへ応用することができるため、次の段階はiPS細胞を網膜の前駆細胞へと変化させる技術の確立が必要となる。

MacLaren博士によると、彼らは移植された細胞がそこで生存できること、光受容細胞へと成長すること、また網膜内の他の細胞との連結を再構築することを示すことができた。そのため眼の幹細胞療法の最終目標である、網膜層全体の再生へと着実に近づいているという。



元記事:
New Stem Cell Approach for Blindness Successful in Mice
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/01/130107160413.htm

参照:
Mandeep S. Singh, Peter Charbel Issa, Rachel Butler, Chris Martin, Daniel M. Lipinski, Sumathi Sekaran, Alun R. Barnard, and Robert E. MacLaren. Reversal of end-stage retinal degeneration and restoration of visual function by photoreceptor transplantation. Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS), 2013; DOI: 10.1073/pnas.1119416110