さて、今年は丑年です。
牛にまつわる展示がたくさん出ていました。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 牛にまつわる信仰史
第2章 牛と共同した暮らし
第3章 牛車と王朝の様式美
第4章 描写された牛の姿形
*以下の画像は順不同です。
ことわざで知られる「牛に引かれて善光寺参り」の情景を描いた図です。ある老婆が布を日にさらしていると、牛が角に布をかけて走り去り、それを追いかけた老婆はいつの間にか善光寺へたどり着き、たちまち仏を信仰するようになった、とされます。その具志は観音菩薩の化身であったとも記されます。
(現在の高輪ゲートウェイ駅あたり)
「博物館に初もうで」
ウシにひかれてトーハクまいり
あけましておめでとうございます。令和3年は丑年です。牛は古くから人の生活を支え続けてきた身近な存在でした。本特集展示にならぶ多彩な<描写された牛の姿形>には、そんな牛に対する人びとのさまざまな想いが反映されています。
牛に聖性をみる古代インドの信仰は、東アジアにまで広がり、ときには神の乗り物や、仏教における悟りの象徴ともみなされました。ここように<牛にまつわる信仰史>は多様ですが、その背景には、日常における<牛と共同した暮らし>がありました。力強く従順な牛は、重要な労働力として輸送や農耕に活躍していたのです。さらに平安時代には、貴族の乗り物、牛車が登場します。華やかな<牛車と王朝の様式美>は、現代にいたるまで長く憧憬の対象となりました。
なお本展のタイトルは、「牛に引かれて善光寺参り」という諺をもとにしたもの。「身近に起こった出来事に導かれて、思いがけない縁が結ばれること」のたとえです。新型ウイルス感染拡大防止のため、さまざまな対策をとらなければならない今だからこそ、展示作品との思いがけない出会いを通して、改めてトーハク(東京国立博物館)と縁を結んでいただきたい。そんな想いを込めました。本展が、今後の新たな日常を支えていく、ささやかなきっかけとなれば幸いです。
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