東京国立博物館「博物館に初もうで」ウシにひかれてトーハクまいり その1 | とんとん・にっき

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来るもの拒まず去る者追わず、
日々、駄文を重ねております。

「博物館に初もうで」チラシ

 

「東京国立博物館」正面外観

 

主階段室「謹賀新年」垂れ幕
 
「博物館に初もうで」には、例年は2日に行っていましたが、コロナ禍のなか今年は出遅れて、行ったのは16日になってしまいました。
 
お正月の国宝室には、長谷川等伯の「松林図屏風」が展示されます。
絶妙な空気感を体感。

国宝室:長谷川等伯「松林図屏風」

 

長谷川等伯「松林図屏風」

 

さて、今年は丑年です。

牛にまつわる展示がたくさん出ていました。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

第1章 牛にまつわる信仰史

第2章 牛と共同した暮らし

第3章 牛車と王朝の様式美

第4章 描写された牛の姿形

 

*以下の画像は順不同です。

 

渡辺崋山「牧牛図」江戸時代・19世紀

 

崇竺「牧童図」室町時代・16世紀

 

酔墨印「許由巣父図」室町時代・16世紀

 

森徹山「牛図屏風」江戸時代・19世紀

 

ことわざで知られる「牛に引かれて善光寺参り」の情景を描いた図です。ある老婆が布を日にさらしていると、牛が角に布をかけて走り去り、それを追いかけた老婆はいつの間にか善光寺へたどり着き、たちまち仏を信仰するようになった、とされます。その具志は観音菩薩の化身であったとも記されます。

釈卍空「善光寺如来絵詞伝一」
江戸時代・安政5年(1858)

 

「仏画図集(大威徳明王図像)」
江戸時代・17世紀

 

「焔魔天像」
南北朝時代・14世紀

 

歌川広重「高輪牛町」江戸時代・19世紀

(現在の高輪ゲートウェイ駅あたり)

 

堤等琳「荷負牛」江戸時代・18~19世紀

 

「ヴァジュラバイラヴァ父母仏立像」
中国、清時代・~18世紀

 

「チューギェル立像」
中国、清時代・18~19世紀

 

重要文化財「阿弥陀如来および
両脇侍立像(善光寺式)」
鎌倉時代・建長6年(1254)

 

国宝「片輪車蒔絵螺鈿手箱」平安時代・12世紀

 

「三彩牛車・馭者」中国、唐時代・7世紀

 

長谷川晴定作「御所車置物」明治時代・19世紀

 

伝土佐光信「松図屏風」室町時代・16世紀

 

「博物館に初もうで」

ウシにひかれてトーハクまいり

あけましておめでとうございます。令和3年は丑年です。牛は古くから人の生活を支え続けてきた身近な存在でした。本特集展示にならぶ多彩な<描写された牛の姿形>には、そんな牛に対する人びとのさまざまな想いが反映されています。

牛に聖性をみる古代インドの信仰は、東アジアにまで広がり、ときには神の乗り物や、仏教における悟りの象徴ともみなされました。ここように<牛にまつわる信仰史>は多様ですが、その背景には、日常における<牛と共同した暮らし>がありました。力強く従順な牛は、重要な労働力として輸送や農耕に活躍していたのです。さらに平安時代には、貴族の乗り物、牛車が登場します。華やかな<牛車と王朝の様式美>は、現代にいたるまで長く憧憬の対象となりました。

なお本展のタイトルは、「牛に引かれて善光寺参り」という諺をもとにしたもの。「身近に起こった出来事に導かれて、思いがけない縁が結ばれること」のたとえです。新型ウイルス感染拡大防止のため、さまざまな対策をとらなければならない今だからこそ、展示作品との思いがけない出会いを通して、改めてトーハク(東京国立博物館)と縁を結んでいただきたい。そんな想いを込めました。本展が、今後の新たな日常を支えていく、ささやかなきっかけとなれば幸いです。

 

東京国立博物館ホームページ

東京国立博物館 - トーハク (tnm.jp)