今村夏子の「こちらあみ子」を読んだ! | とんとん・にっき

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来るもの拒まず去る者追わず、
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今村夏子の、太宰治賞・三島由紀夫賞W受賞「こちらあみ子」(ちくま文庫:2014年6月10日第1刷発行、2016年7月5日第3刷発行)を読みました。今村夏子の作品は、芥川賞を受賞した「むらさきのスカートの女」を読んだことがあります。読んだのは芥川賞候補作としてでしたが・・・。
 
本のカバー裏には、以下のようにあります。
あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えて行く過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。芥川賞作家、今村夏子のすべてがここにある。
 
デビュー作にしては、文章も自分のスタイルができていて、ぎくしゃくしたところもなく、しかも平易で読みやすく、独自の世界が展開されます。その独自の世界ですが、書くのがむずかしい。
 
一般に文庫本の解説を見ればその内容や主旨がおおよそ分かるんですが、町田康の解説を読んでもあみ子の扱いに苦戦しているのがよくわかります。
 
一方、穂村弘は、あみ子は「ありえない」の塊、だとしながらも、あみ子がボロボロになればなるほど、何かが生き生きとしてくるのを感じるという。「こちらあみ子」という呼び掛けに応えて、年齢や性別を超越した異形の友人たちの姿が見え隠れする。前歯のないあみ子を中心に、新しい世界が生まれようとしていると、好意的に述べています。
 
「ピクニック」もいい。七瀬さんの彼氏、お笑い芸人・楽しんごを思う気持ちが痛いほど伝わります。
 
話は変わって、
朝日新聞の読書欄に「辛島デイヴィッドが薦める文庫この新刊」というコーナーがあり、今村夏子の「星の子」(朝日文庫:2017年)という作品を紹介しています。
「主人公は水をあがめる宗教を信仰する両親を持つ少女。家庭内の亀裂、友情の芽生え、好意を抱く相手の裏切りなどを経験しながら成長していく。その過程が幼さを残す中学生の視点で淡々と語られるが、それが逆に直接的に描かれない闇を読者に想像させる」。
これを読むと、買っちゃうんだろうな。
 
実は、今村夏子の「あひる」(角川文庫:平成31年1月25日初版発行、令和元年8月25日5版発行)を、もう買ってあるんですよ。
 
今村夏子の芥川賞候補作「むらさきのスカートの女」を読んだ!
とんとん・にっき 2019年7月6日