新宿武蔵野館で、ケン・ローチ監督の「家族を想うとき」を観た! | とんとん・にっき

とんとん・にっき

来るもの拒まず去る者追わず、
日々、駄文を重ねております。

なんで、なんで、どうしてこうなっちゃうの、まったく出口なしです。それでもリッキーは、家族の止めるのを振り切って、仕事に出ます。

ケン・ローチ監督は言います。
1日14時間、くたくたになるまで働いている宅配ドライバーを介して買った物を手にいれるということが、持続可能と言えるのでしょうか?自分で店に行って、店主に話しかけることよりもよいシステムなのでしょうか?
友人や家族にまで波及するようなプレッシャーのもとで人々が働き、人生を狭めるような世界を、私たちは望んでいるのでしょうか?
これは市場経済の崩壊ではなく、むしろ反対で、経費を節減し、利益を最大化する苛酷な競争によってもたらされる市場の論理的な発展です。市場は私たちの生活の質には関心がありません。市場の関心は金を儲けることで、この二つは相性が悪いのです。
ワーキング・プア、つまりリッキーやアビーのような人々と家族が代償を払うのです。しかし最終的には、観客の皆さんが本作の登場人物に信頼を寄せ、彼らのことを思いやり、彼らと共に笑い、彼らのトラブルを自分のことと思わなかったら、この映画には価値がありません。
彼らの生きてきた証が本物だと認識されることが、観客の琴線に触れるのです。



朝日新聞:2019年12月13日

過去の関連記事:(リンクが貼れませんが)
ケン・ローチ監督の「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観た!
2017年7月17日
ケン・ローチ監督の「ジミー、野を駆ける伝説」を観た!
2015年4月22日
ケン・ローチ監督の「この自由な世界で」を観た!
2008年9月12日
「麦の穂をゆらす風」を観た!
2006年12月7日