「改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か」を読んだ! | とんとん・にっき

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来るもの拒まず去る者追わず、
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プリーモ・レーヴィ著「改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か」(朝日新聞出版:2017年10月25日第1刷発行)を読みました。アウシュヴィッツの強制収容所を描いたこの本、ページ毎に胸に突き刺さり、読むのが辛い。
 
「あとは切手を、一枚貼るだけ」のなかで、9通目に、強制収容所に吟遊詩人が忍び込み、イディッシュ語の四行詩を歌いはじめると人の輪ができた、という箇所が紹介されていました。
 
内容紹介:
レーヴィがナチスのユダヤ人強制収容所から救出されたのは1945年1月27日。自宅に帰り着くとすぐに、彼は記憶を頼りに、本書の執筆にとりかかった。餓えと寒さ、不潔な寝床、病い、そして死にゆく人々・・・・。過酷な強制収容所での生活が非常に緻密に、きめ細かく記されている。ものを考えることが死につながるほどの極限状態にあって、人間の魂がいかに破壊されていくのか。体験を書くという行為は、アウシュヴィッツで全面的に否定された自己の人間性を回復する作業でもあったのかもしれない。生還以来、その体験を証言してきたレーヴィの集大成的ともいえる古典的名著「アウシュヴィッツは終わらない」の改訂完全版。
 
文中「夏の出来事」の項に、以下のように書かれています。
私たちの知恵は、「分かろうとしないこと」、未来のことを考えないこと、いつ、どのように終わりが来るかかんがえて、身をさいなまないこと、質問をしないこと、されないことだった。
 
末尾に「若い読者に答える」として、学生たちへの疑問に答えるというかたちで、レーヴィがさまざまな角度で論じていて、分かりやすい。