千葉市美術館で「小原古邨 花咲き鳥歌う紙上の楽園」を観た! | とんとん・にっき

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「夢のちたばし美術館」チラシ
 
千葉市美術館で開催されている「夢のちたばし美術館」を観に行ったのは6月14日のことでした。千葉市美術館は浮世絵が、板橋区立美術館は江戸絵画が得意とするその2館が美術館改修工事をきっかけに、得意の分野を持ち寄り共同で展覧会を開催するという夢のような企画でした。最近(6月18日)、朝日新聞で下のような美術評が掲載されていました。おおむね好評のようです。出されていたのは128点、展覧会としてはかなりの量でした。
 
そのなかで、僕が初めて観て気に入ったのが「小原古邨」、出されていたのは14点、長大判錦絵と大短冊版錦絵で、千葉市美術館の所蔵品です。「夢のちたばし」は、図録がつくられていないということで、残念でしたが、帰りにミュージアムショップをのぞいたら、「小原古邨 花崎鳥歌う紙上の楽園」という本があったので購入しました。著者は日野原健司、太田記念美術館の監修でした。
 
ここでは「夢のちたばし」に出ていた小原古邨の作品14点のうち、「小原古邨・・・」に載っていた7点を、以下に載せておきます。
 
「藤に四十雀」
 
「樹上の青鷺」
 
「竹に雀」
 
「月に木莵」
 
「鶏とひよこ」
 
「花菖蒲に菖蒲翡翠」
 
「松に鹿」
 
20世紀前半、愛らしい花や鳥、獣たちを描いた木版画によって、欧米の人を魅了した小原古邨(1877-1945)。日本ではこれまでその名前はほとんど語られることがなく、存在そのものが忘れられてしまっている。しかしながら、古邨の花鳥画を見てみると、花や鳥という小さな命に注がれた温かなまなざしはもちろん、木版画とは思えないような美しい色彩に溢れていることをじゅうぶんに感じることができるだろう。
 
小原古邨は、明治10年(1877)、石川県金沢市に生まれ、昭和20年(1945)、東京都豊島区にて67歳で没した。古邨が生涯に制作した花鳥画は500点以上。江戸時代、歌川広重が花鳥画の大成者として数多くの作品を残しているが、古邨もそれに匹敵するような精力的な活動を行っていたのである。
 
古邨の作品は、主に海外に向けて販売されていたため、日本で現存している点数はそれほど多くない。また、江戸時代から続く浮世絵版画の歴史の最末端に位置しているため、日本の浮世絵研究者たちも、ほとんど注目することがなかった。しかし一方で、古邨の花鳥画は欧米のコレクターたちの心を掴み、美術館での展覧会の開催やカタログレゾネの制作、書籍の刊行など、着実な研究が積み重ねられている。その流れを受けて、ようやく近年、日本でも少しずつ話題になってきた。
(日野原健司「小原古邨・・・」はじめに)
 
「小原古邨」展
会場:太田記念美術館
会期:平成31年(2019)2月1日(金)~3月24日(日)
 
「小原古邨 花崎鳥歌う紙上の楽園」
2019年2月15日初版第1刷発行
監修:公益財団法人太田記念美術館
著者:日野原健司
発行所:株式会社東京美術
 
朝日新聞:2019年6月18日