千葉市美術館で「メアリー・エインズワース 浮世絵コレクション―初期浮世絵から北斎・広重まで」を観てきました。観に行ったのは、5月6日のことでした。下記の通り、会期は終了しました。もたもたしていたら、6月1日から、「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展 ―夢のCHITABASHI美術館!?」が始まっていました。
オーバリン大学 アレン・メモリアル美術館所蔵
メアリー・エインズワース
浮世絵コレクション
―初期浮世絵から北斎・広重まで
2019年4月13日~5月26日
千葉市美術館
展覧会の構成は、以下の通りです。
1 浮世絵の黎明 墨摺絵からの展開
2 色彩を求めて 紅摺絵から錦絵の時代へ
3 錦絵の興隆 黄金期の華 清長から歌麿へ
4 風景画時代の到来 北斎と国芳
5 エインズワースの愛した広重
ここでは「5 エインズワースの愛した広重」を除く、1~4を以下の載せておきます。
1 浮世絵の黎明 墨摺絵からの展開
延宝8年(1680)頃、「浮世絵師」や「浮世絵」という言葉が現れ、一枚摺(いちまいずり)の墨摺絵(すみずりえ)が多く普及し始めます。まもなく色彩が求められるようになりますが、それから60-70年ほどの間は、1枚1枚筆で彩色を行っていました。 この章では、現存数が少なく、大変貴重な初期浮世絵版画を展示します。
2 色彩を求めて 紅摺絵から錦絵の時代へ
寛保・延享期(1741-48)になると、版による彩色が始まり、墨の輪郭線に、紅と緑を中心に2,3 色を摺る素朴な紅摺絵(べにずりえ)が登場します。やがて明和期(1764-72)には、趣味人たちの摺すりもの物制作がきっ かけとなって、より高度な多色摺(たしょくずり)木版画技法、すなわち錦絵が誕生します。
2章では、紅摺絵の名品と錦絵創始期の第一人者鈴木春信(1725?-70)の作品を中心に紹介します。
3 錦絵の興隆 黄金期の華 清長から歌麿へ
錦絵出版界が活発化する中で、天明期(1781-89)には、長身の伸びやかな美人を描いてスター絵師となったのが、鳥居清長(とりいきよなが1752-1815)です。さらに次世代の喜多川歌麿(きたがわうたまろ?-1806)や東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく1763?-1820?)の大首絵も出版されました。
錦絵が華やかに展開し、多くのスター絵師が輩出した黄金期の作品をご堪能ください。
4 風景画時代の到来 北斎と国芳
天保(1830-44)初期には、葛飾北斎(かつしかほくさい 1760-1849)の「冨嶽三十六景」(ふがくさんじゅうろっけい)シリーズの出版により、浮世絵における風景画が確固たる存在感を示します。
一方で、近年人気の高まる、歌川国芳(うたがわくによし 1797-1861)も同じ時期に独創的な風景画を出したことで注目されます。
4章では、北斎と国芳という2人の天才絵師による個性的な風景画を中心に、浮世絵における風景画確立時のインパクトを追体験します。
オーバリン大学アレン・メモリアル美術館所蔵
メアリー・エインズワース浮世絵コレクション
―初期浮世絵から北斎・広重まで
アメリカ・オハイオ州オーバリン大学のアレン・メモリアル美術館には、アメリカ人女性メアリー・エインズワース(1867-1950)が、この母校に寄贈した1500点以上の浮世絵版画が所蔵されています。明治39年(1906)、エインズワースの来日を契機に始まったこのコレクションでは、珍しい初期の作品から、鳥居清長(1752-1815)や喜多川歌麿(?-1806)など錦絵が興隆をみた黄金期の作品、葛飾北斎(1760-1849)、歌川広重(1797-1858)の活躍による幕末の風景画に至るまで、浮世絵の歴史をほぼ網羅することができます。
よく知られた人気のある作品ばかりでなく、希少な作品も多く、また保存状態も良好で、浮世絵版画の魅力を余す所なく伝える美しいコレクションですが、これまでアメリカにおいてさえ大規模な展覧会は行われたことがありませんでした。
本展覧会は、現地調査を踏まえ、メアリー・エインズワース浮世絵コレクションから珠玉の200点を選りすぐり紹介する、初めての里帰り展です。美しい浮世絵で満たされたエインズワースの玉手箱を初めて開くこの展覧会を、是非ご堪能ください。
「千葉市美術館」ホームページ
http://www.ccma-net.jp/index.html
オーバリン大学アレン・メモリアル美術館所蔵
メアリー・エインズワース浮世絵コレクション
―初期浮世絵から北斎・広重まで
図録
企画・構成:
千葉市美術館
静岡市美術館
大阪市立美術館
オーバリン大学アレン・メモリアル美術館
制作・発行:マンゴスティン
©2019マンゴスティン
ここでは取り上げませんが、
(同時開催)
ピーター・ドラッカー・コレクション水墨画名品展
「マネジメントの父」と称えられる経営学者のピーター・ドラッカー(1909-2005)が、30年以上にわたり熱心に収集した室町~江戸時代の日本絵画のコレクション全点が、散逸することなく日本に里帰りし、千葉市美術館に寄託されました。これを記念し、この個性的なコレクションの真髄を、ドラッカーの収集に関する新たな資料も交えてご紹介します。
*図録は完売でした。
以下の画像は「千葉テレビ」より