埼玉県立近代美術館で「インポッシブル・アーキテクチュア― もう一つの建築史」を観てきました。観に行ったのは3月9日のことでした。またまたうっかりして、この展覧会は会期終了となりました。
どうして「アンビルド/未完の建築」なのか、それぞれ個別の事情があるとは思いますが、それぞれに魅力があるのだから、建築とは困ったものです。アンビルドなのに、そこにかけたエネルギーは膨大なものです。そこまでやる必要があったのかどうかは別にして、建築の原点がそこにあり、魅力を振りまいているのは覆うべくもありません。できたものばかりが建築ではありません。建たなかったからこそ、光り輝いているのです、という逆説。
展覧会が取り上げた個別のプロジェクトのほとんどは、今までも何度も取り上げられており、建築関係者にとってはよく知られたものばかりで、特に新味があるというわけではありません。しかし、別の切り口、つまり今回は特に、精巧な「模型」が、個別の建築の魅力を増幅して発信しています。図面だけとは違って、一般の人にも固有な建築の魅力をわかりやすく発信しています。
白井晟一の「原爆堂」は、「建築パース」が出品されるようでしたが、どういう事情か分かりませんが、今回は出品はされませんでした。
「インポッシブル・アーキテクチュア― もう一つの建築史」
建築の歴史を振り返ると、完成に至らなかった素晴らしい構想や、あえて提案に留めた刺激的なアイディアが数多く存在しています。未来に向けて夢想した建築、技術的には可能であったにもかかわらず社会的な条件や制度によって実施できなかった建築、実現よりも既存の制度に対して批評精神を打ち出す点に主眼を置いた提案など、いわゆるアンビルト/未完の建築には、作者の夢や思考がより直接的に表現されているはずです。
この展覧会は、20世紀以降の国外、国内のアンビルトの建築に焦点をあて、それらを仮に「インポッシブル・アーキテクチャー」と称しています。ここでの「インポッシブル」という言葉は、単に建築構想がラディカルで無理難題であるがゆえの「不可能」を意味しません。言うまでもなく、不可能に眼を向ければ、同時に可能性の境界を問うことにも繋がります。建築の不可能性に焦点をあてることによって、逆説的にも建築における極限の可能性や豊穣な潜在力が浮かび上がってくる-それこそが、この展覧会のねらいです。
約40人の建築家・美術家による「インポッシブル・アーキテクチャー」を、図面、模型、関連資料などを通して読み解きながら、未だ見ぬ新たな建築の姿を展望します。
この展覧会は、20世紀以降の国外、国内のアンビルトの建築に焦点をあて、それらを仮に「インポッシブル・アーキテクチャー」と称しています。ここでの「インポッシブル」という言葉は、単に建築構想がラディカルで無理難題であるがゆえの「不可能」を意味しません。言うまでもなく、不可能に眼を向ければ、同時に可能性の境界を問うことにも繋がります。建築の不可能性に焦点をあてることによって、逆説的にも建築における極限の可能性や豊穣な潜在力が浮かび上がってくる-それこそが、この展覧会のねらいです。
約40人の建築家・美術家による「インポッシブル・アーキテクチャー」を、図面、模型、関連資料などを通して読み解きながら、未だ見ぬ新たな建築の姿を展望します。
主な出品予定作家(アルファベット順)
会田誠、安藤忠雄、アーキグラム、荒川修作+マドリン・ギンズ、ヤーコフ・チェルニホフ、ヨナ・フリードマン、藤本壮介、マーク・フォスター・ゲージ、ピエール・ジャン・ジルー、ザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV(日建設計、梓設計、日本設計、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン設計共同体)、ジョン・ヘイダック、ハンス・ホライン、石上純也、磯崎新、川喜田煉七郎、菊竹清訓、レム・コールハース、黒川紀章、ダニエル・リベスキンド、前川國男、カジミール・マレーヴィチ、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、長倉威彦、コンスタン・ニーヴェンホイス、山口文象(岡村蚊象)、岡本太郎、セドリック・プライス、エットレ・ソットサス、スーパースタジオ、瀧澤眞弓、ウラジーミル・タトリン、ブルーノ・タウト、ジュゼッペ・テラーニ、山口晃、村田豊
チラシに掲載されている白井晟一《原爆堂》は不出品となりました。
会田誠、安藤忠雄、アーキグラム、荒川修作+マドリン・ギンズ、ヤーコフ・チェルニホフ、ヨナ・フリードマン、藤本壮介、マーク・フォスター・ゲージ、ピエール・ジャン・ジルー、ザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV(日建設計、梓設計、日本設計、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン設計共同体)、ジョン・ヘイダック、ハンス・ホライン、石上純也、磯崎新、川喜田煉七郎、菊竹清訓、レム・コールハース、黒川紀章、ダニエル・リベスキンド、前川國男、カジミール・マレーヴィチ、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、長倉威彦、コンスタン・ニーヴェンホイス、山口文象(岡村蚊象)、岡本太郎、セドリック・プライス、エットレ・ソットサス、スーパースタジオ、瀧澤眞弓、ウラジーミル・タトリン、ブルーノ・タウト、ジュゼッペ・テラーニ、山口晃、村田豊
チラシに掲載されている白井晟一《原爆堂》は不出品となりました。
会期
2019年2月2日 (土) ~ 3月24日 (日)
※会期中に一部展示替えがあります。
前期:2月2日 (土) ~2月24日 (日)、後期:2月26日(火)〜3月24日 (日)
以下、出品された作品のうち、いくつかを下に載せておきます。
1919-1920「第3インターナショナル記念塔」
ウラジーミル・タリトン
c.1922「ベルリン、フリードリヒ通り駅の摩天楼のコンペ案」
ルードヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ
1931「東京帝室博物館建築設計図案懸賞応募案」
前川國男
1961「東京計画1961-Helix計画」
黒川紀章
1963「国立京都国際会館設計競技案」
菊竹清訓
1986「東京都新都庁舎計画」
磯崎新
1988「中之島プロジェクトⅡ-アーバンエッグ(計画案)」
安藤忠雄
2013-2015「新国立競技場」
ザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV
日建設計、梓設計、日本設計、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン設計共同体
「美術展ナビ」五十嵐太郎
https://artexhibition.jp/topics/features/20190306-AEJ66957/
「埼玉県立近代美術館」ホームページ
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/
「インポッシブル・アーキテクチュア―」
図録
2019年2月6日初版第1刷発行
監修:五十嵐太郎
編者:埼玉県立近代美術館+新潟市美術館+
広島市現代美術館+国立国際美術館
発行所:株式会社平凡社
朝日新聞:2019年3月5日