庄野潤三の本! | とんとん・にっき

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来るもの拒まず去る者追わず、
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友人からの知らせで、生田の庄野潤三の家を観に行く前に「庄野潤三の本 山の上の家」(株式会社夏葉社:2018年7月30日第1刷発行)を購入しました。すぐにでも読んでブログに載せるつもりでいましたが、なかなか読む順番が回ってこない。内容も充実しているので、そう簡単には読めない。それではいかにもまずいので、巻頭文でもある佐伯一麦の「ステッドラーの3Bの鉛筆」だけは一応読みました。

 

佐伯が2014年1月、徳島の県立文学書道館で行われていた「庄野潤三の世界展」を観た時の感想を、以下のように書いていました。「庄野さんの愛用品の中でもっとも印象深かったのは、箱にぎっしりと詰まっているちびたステッドラーの3Bの鉛筆だった」と。そうです、僕も庄野潤三の家の本棚の前に置かれていた、たしかにちびたステッドラーの3Bの鉛筆が印象的でした。

 

 

「庄野潤三の本 山の上の家」は、ある面写真集のようでもあり、単行本未収録の作品があり、「全著作案内」もあり、家族の原稿なども収録されていて、ぜひ多くの人に読んでもらいたい一冊です。

 

さて、続いて、庄野潤三の「明夫と良二」(講談社文芸文庫:2019年2月7日第1刷発行)です。朝日新聞の読書欄の「文庫、この新刊」に取り上げられました。僕はこの本のことは知っていたので、新聞に載る前に購入しましたが、まだ読むには至っていません。「山の上の家」に暮らす5人家族(両親と男の子の兄弟、そして嫁いでいく姉・・・)の日常は、特別なことは何一つ起こらないからこそ、すべては光輝いて見える、と、辻山良雄はいう。もうお判りでしょう。上の「庄野潤三の本 山の上の家」とパラレルな本なのです。

 

朝日新聞:2019年2月16日読書欄

 

本のカバーには、以下のようにあります。

磊落な浪人生の兄と、気立ての優しい中学生の弟。男の子二人のあかしみに満ちたやりとりを見守る姉は、間もなく嫁いでゆく。自然に囲まれた丘の家の一軒の家に暮らす作家一家の何気ない一瞬に焼き付けられた、はかなく移ろいゆく幸福なひととき…。人生の喜び、そしてあわれを透徹したまなざしでとらえた、名作「絵合せ」と対をなす家族小説の傑作。

 

 

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