斎藤美奈子の「日本の同時代小説」を読んだ! | とんとん・にっき

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来るもの拒まず去る者追わず、
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斎藤美奈子の「日本の同時代小説」(岩波新書:2018年11月20日第1刷発行)を読みました。

 

川上弘美の「センセイの鞄」(新潮文庫 2007年)、文庫本が出て、斎藤美奈子が解説を書いているというので、単行本を持っているのにもかかわらず、わざわざ文庫本を買ったことを覚えています。 最近では、朝日新聞の書評欄を担当していて、斎藤の推薦図書の解説を書いているので、ほぼ毎週のようにその書評を読んでいます。その書評によっては、本を買ったりもしています。

 

僕の斎藤美奈子体験は、「趣味は読書。」(平凡社 2003年)あたりから始まり、遡って以下のものを読みました。いずれもブログを始める前のことなので、ブログに書いたものはありません。
 

「趣味は読書。」(平凡社 2003年)

「文章読本さん江」(筑摩書房 2002年) 
「文壇アイドル論」(岩波書店 2002年)
 「モダンガール論 - 女の子には出世の道が二つある」(マガジンハウス 2000年) 
「読者は踊る - タレント本から聖書まで。話題の本253冊の読み方」(マガジンハウス 1998年) 
「紅一点論 - アニメ・特撮・伝記のヒロイン像」(ビレッジセンター出版局 1998年) 
「妊娠小説」(筑摩書房 1994年)

「あほらし屋の鐘が鳴る」(朝日新聞社 1999年)

 

過去、といっても最近ですが、たったの2冊ですが、読んだ本を以下に挙げておきます。とはいえ、読む、というより、なんなんだろう、分別しにくいものばかりです。今回読んだのも、分別しづらいですね。基本は「文芸評論家」ですから…。

 

さて、斎藤美奈子の「日本の同時代小説」、「現代小説が一冊でわかる本がありますか?」ときかれ、すぐに推薦できる手ごろな本がなかったのが、そもそもの動機だと、そして第一義的な目的は、各時代を代表する作家、重要な作品を紹介することです、と斎藤は「あとがき」で述べています。

 

登場する作家は僕の数えたところ、数え間違いななければ353人です。坪内逍遥、森鴎外に始まり、ずっと飛ばして、美嘉、メイ、若杉冽まで、全部読んでいるのだから、凄い数です。

 

本の帯には、以下のようにあります。

「日本の現代小説」の「序言」で、中村光夫は次のように書いています。

<同時代人の判断の上に築かれた歴史は、砂上の楼閣にひとしいのです。/しかし、それでいながら、さまざまな現代史が絶えず書かれるのは、僕らに自分の生きている時代の性格を知りたいという強い要求があるからでしょう>

「自分の生きている時代の性格を知りたい」という思いは私も同じです。(略)本書がこの半世紀余の社会と小説を考える一助になれば幸いです(「はじめに」より)

 

この本の内容:

メディア環境の急速な進化,世界情勢の転変,格差社会の深刻化,そして戦争に大震災──.創作の足元にある社会が激変を重ねたこの50年.「大文字の文学の終焉」が言われる中にも,新しい小説は常に書き続けられてきた! 今改めて振り返る時,そこにはどんな軌跡が浮かぶのか? ついに成る,私たちの「同時代の文学史」.

 

目次

はじめに
1 一九六〇年代 知識人の凋落
2 一九七〇年代 記録文学の時代
3 一九八〇年代 遊園地化する純文学
4 一九九〇年代 女性作家の台頭
5 二〇〇〇年代 戦争と格差社会
6 二〇一〇年代 ディストピアを超えて
あとがき
本書に登場する主な作家
主な参考文献
 

斎藤美奈子(さいとうみなこ):
1956年新潟県生まれ.児童書などの編集者を経て
現在─文芸評論家
著書─『妊娠小説』『紅一点論』『文章読本さん江』(以上,ちくま文庫),『文壇アイドル論』『モダンガール論』(以上,文春文庫),『戦下のレシピ』(岩波現代文庫),『冠婚葬祭のひみつ』『文庫解説ワンダーランド』(以上,岩波新書),『名作うしろ読み』(中公文庫),『名作うしろ読みプレミアム』(中央公論新社),『ニッポン沈没』(筑摩書房),『学校が教えないほんとうの政治の話』(ちくまプリマー新書)ほか多数.『文章読本さん江』で第1回小林秀雄賞受賞.