野口哲哉~中世より愛をこめて~
樹脂やプラスチックで甲冑姿の表情豊かな武者像を制作する野口哲哉の4年ぶりの大型個展。物思いにふけったり、顔に手を当ててうなだれたりする武者の姿には、ユーモラスな哀愁が漂う。未発表や新作の立体作品を中心に、平面作品と合わせて約50点を展示。(「朝日新聞」案内による)
会場風景
「風船追物語」
展示作品の一部(順不同)
左:「OLD MAN」
右:「蛤兜の居る風景」
南北朝の花
「野口哲哉~中世より愛をこめて~」
鎧をまとっているのは人間ではなく、愛なのかもしれない。
どの時代に生まれていたとしても、人の在り方は根源では変わらない。皆が精一杯、現実を生きている。私たちの感情は時代や国、あらゆる民族を超えてつながって、繰り返されている。
野口哲哉の作品に接した時に、静かにこみ上げてくる共感性は現実の矛盾を生きる私たちと同じものだ。
寂しくて心細い目、疲れて眠りたい日、友人とたくさん笑った日。何気ないふだん、気にも留めなかった瞬間の、人々の輝き。
そこに在る自然体の美しさ。彼独自の色彩とシルエットで宿った生命は、すぐ傍らでリアルに、観る人のさまざまな気持ちに寄り添ってくれるのだ。
人と人だけでなく、土地や時間にも無数の愛が行き交っている。鎧をまとっているのは人間ではなく、愛なのかもしれない。人間の営みはきっとこの先何百年も変わらない。身に着けている物がほんの少し違うだけなのだろう。
「ポーラミュージアムアネックス」ホームページ
http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/index.html
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練馬区立美術館で「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―」を観た!
野口哲哉ノ作品集「侍達ノ居ル処。」
発行日:2014年2月20日
著者:野口哲哉
発行所:株式会社葵幻舎