バスの集合時間まで少し時間があったので、長崎港に沿って歩いていると、見つけたのが「香港上海銀行長崎支店」でした。3階建ての典型的な銀行建築で、1階にバンキングホールがあります。唯一現存する下田菊太郎設計の建築物です。一時解体の危機に瀕したが、市民の保存運動が実り、保存されました。リーフレットには「歴史を見つめてきた洋館」とあります。「文明開化の光と闇 建築家下田菊太郎伝」(林青梧、1981)、読んだ記憶があるので、どこかにあると思います。
国指定重要文化財 旧香港上海銀行長崎支店
香港上海銀行は、明治29年(1896)に長崎支店を開設しました。この建物は、香港上海銀行長崎支店の新社屋として下田菊太郎の設計により明治37年(1904)に竣工しました。昭和6年(1931)、長崎支店が閉鎖された後は、警察署や資料館などに利用され、親しまれてきました。
その後、市民の声を受けて建物の保存修理を行い、平成8年(1996)10月には「長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館」として開館。平成26年(2014)4月に「長崎近代交流史と孫文・梅屋庄吉ミュージアム」を開設し、リニューアルオープンしました。
(建物前の「案内板」による)
建物の概要
この建物の設計者は、当時建築界の異才と呼ばれた下田菊太郎です。この建物は今日残る彼の数少ない作品のひとつで、市民運動の結果残されたものです。
香港上海銀行長崎支店は、煉瓦および石造3階建の典型的なファサード建築になっています。「ファサード建築」とは、正面を重視した西洋建築様式で、正面は装飾を豊かにし、側面はごくシンプルな造り。正面1階には重厚なアーチ列が、その上には角柱とコリント式円柱がずらりと並んでいます。港を一望する美しいベランダや、屋根の前面には巨大なペディメント(三角破風)があり、どっしりとした構えを見せています。建物の1回は銀行の営業スペースで、2階と3階は居住用だったと考えられます。
(「リーフレット」より)
過去の関連記事:
「世界遺産暫定登録地 長崎軍艦島2日間」
2015年10月23日:付記
相模選書
「文明開化の光と闇」
―建築家下田菊太郎伝―
昭和56年3月25日第1刷発行
著者:林青梧
発行所:相模書房