「真剣に話しましょう 小熊英二対談集」を読んだ! | とんとん・にっき

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「真剣に話しましょう 小熊英二対談集」(株式会社新曜社:初版第1刷発行2014年10月8日)を読みました。「真剣に話しましょう 小熊英二対談集」は、「対話の回路」(新曜社:2005年)に続き、小熊英二にとって2冊目の対談集だという。「真剣に話しましょう」というタイトルが凄い、驚きます。久しぶりに緊張感をもって、真剣に読みました。


対談というからには、やはり相互のやりとりが大切だ。お互いに共通の認識や基盤があることは重要だが、意見の違う部分を交換して、一人だけでは至れない地点に発展させるプロセスがもっと重要である。(「あとがき」より)


ということで、一番面白かったのは上野千鶴子との対話、「上野千鶴子を腑分けする」でした。小熊は上野の著作を年代ごとによく読みこなしていて、次から次へと疑問点を質します。上野は負けず劣らず、それに一つ一つ丁寧に答えます。この丁々発止のやり取りが、たまりません。あの上野をして「あなたにこういうふうに腑分けしていただくと、自分のなかで何が白日にさらされ、何が問題として残っているかがまざまざとわかるようになりました」とまで言わせています。


それは事前の準備をふくめ、私が真面目に対談に臨んでいることが、相手にも伝わっていたからだと思いたいところである。と、小熊は言う。


対談は、論文と違って、「生もの」である。応答のなかで生まれる緊張感と即興感が長所である。内容そのものは、時事的なものであり、いづれは古くなる。しかし、そこに含まれている緊張感や瞬発力などを、共有していただければと思う。(「あとがき」より)

小熊英二:略歴

1962年東京生まれ。1987年東京大学農学部卒業。出版者勤務を経て、1998年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策部教授。著書に「1968」「〈民主〉と〈愛国〉」「〈日本人〉の境界」「単一民族神話の起源」(以上、新曜社)、「増補改訂日本という国」(イースト・プレス)、「私たちはいまどこにいるのか―小熊英二時評集」(毎日新聞社)、共著に「『東北』再生」(イースト・プレス)、編著に「辺境からはじまる―東京/東北論」(明石書店)など。


内容紹介:

“真剣“な対話のなかに 新たな社会の芽が兆す。

安定経済清貯油の崩壊、震災と原発事故が従来の思考枠組みの失効をつげた現在、ジェンダー、若者論、社会運動、憲法などの各領域で、ユニークな思想を紡ぎ、活動を続ける論客たちとの妥協なき9つの対談を収録。


真剣に話しましょう・目次 


・震災後の日本社会と若者                         古市憲寿

・サヨクはなぜ経済成長の夢を見るか?                 高原基彰               

 ――「超安定社会」の廃墟から議論の足場を再構築するために

・上野千鶴子を腑分けする                         上野千鶴子

 ――「対幻想論」から「ケアの社会学」まで

・グローバル社会運動と日本                        小川有美

 ――代議制民主主義を超える民主主義の可能性          酒井啓子

                                          篠田徹

・社会運動のつくり方                             湯浅誠

 ――世界を自分で変えるには

・今回の国政選挙まで、とにかく懲罰投票が続いている。       保坂展人

有権者は現実として議員に期待をしていない。

・どう社会を変えるのか                            東浩紀

 ――風営法問題、官邸前抗議、ヘイトスピーチ、総選挙・・・

   今、「リベラル」は何をすべきか

・変化の手前にある現在                           菅原琢

 ――二〇一三年の時代経験                        韓東賢

・憲法と政治参加を考える  

 ――特定機密保護法と民主主義をめぐって               木村草太

あとがき


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