カトリーヌ・ドヌーブの「インドシナ」を観た! | とんとん・にっき

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「インドシナ」は、1930年代のフランス領インドシナを舞台にした、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の1992フランス映画です。


以下、Movie Walkerの「映画のストーリー」による。

1930年代仏領インドシナ。この地で生まれ、祖国を見たことがないフランス人女性エリアーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)はゴム園を切り回していた。彼女には死んだ友人の娘でアンナンの皇女であるカミーユ(リン・ダン・ファン)という養女がいた。フランス人将校ジャン・バチスト(ヴァンサン・ペレーズ)が2人の前に現れる。以前、(ポンタベン派の)絵のオークションで落札の権利を譲ってくれと頼み、断られたエリアーヌに恋をした彼は、激しく愛を伝えた。彼と愛し合うようになったエリアーヌに、父エミール(アンリ・マルトー)は別れを強要する。脅かされたジャン=バチストは彼女を避けるようになる。しかし、ある雨の日、彼は訪ねてきたエリアーヌを一度はつれなく帰らせかけるが、走り出した車に飛び乗り彼女を抱くのだった。そんな折り、皇帝が暗殺された。共産党が国の独立を願い決起したのだ。


カミーユは町での発砲事件に巻き込まれ、倒れ込む。それを救ったのはジャン=バチストだった。彼女は彼に恋をし、館でのパーティに招く。事情を知らないカミーユの目前で、2人は口論し、ジャン・バチストはエリアーヌを叩く。この事件がもとで彼は離れ島ドラゴン島の警備に左遷され、カミーユは許婚のタン(エリック・グエン)と結婚させられる。カミーユは全てを捨て、ジャン・バスチトに会いに行く。長く苦しい旅の末、島に辿りつき奴隷として列に座らされている彼女を、ジャン・バチストは見つけ出す。仲良く立ち去ろうという瞬間、母子が、引き離されるのを拒否したことで処刑されている姿を見つける。怒ったカミーユは、フランス人の上官将校を撃ち殺してしまう。旅の一座にまぎれ逃げる2人は、一級の政治犯、共産党のジャンヌ・ダルクとして指名手配される。


一方エリアーヌは、彼女を口説き続けてきた小ずるい警部ギイ(ジャン・イアンヌ)に捜査を依頼するが徒労に終わり、かえって彼女はギイの裏の卑猥な姿だけを記憶に残し彼と離れることになる。ジャン・バチストとカミーユの事件は民衆を勇気づけ、芝居として各地で上演された。一児エティエンヌをもうけ、逃亡を続けるのも束の間、ジャン・バチストはつかまり、銃殺されてしまう。カミーユは牢にとらわれる。エティエンヌは、出所したカミーユの願いで、エリアーヌとともにフランスに帰る。そして54年、ジュネーヴ会議に独立国ヴェトナムの代表として渡欧してきたカミーユに息子エティエンヌは面会しない意志を伝える。エリアーヌは愛しき地インドシナとその思いは平行線を辿り、その地に自身のアイデンティティを見出すことができなかったかわりに、インドシナの申し子エティエンヌを傍らに、遥かな思いにふけるのだった。

ラスト、ドヌーブが湖を見ているシーンで静かに終わります。翌日の1954年7月21日、ジュネーブ会議が終わって15年の動乱が終結。南北二つのベトナムが承認された。


幾つかの疑問点。エリアーヌと父親あるいは夫との関係が奥歯に挟まったようではっきりせず疑問。男は植民地ではあまり仕事をしないのか。母親と娘から同時に愛されるというジャン=バチスト、軍人なのにこんなことがあり得るのか疑問。そうかと思うと簡単に左遷されたりもする不思議。アンナンの皇女のある娘が、自ら望んでジャン・バチストに会いたいがために戦場に出て行ったのだが、戦乱の世とはいえ奴隷にまでおちぶれるのかという疑問。


ジャン・バチストは簡単に銃殺されてしまうという疑問。カミーユは子供をもうけるがエリアーヌと暮らしたがらないという疑問。ラスト、ヴェトナム代表のカミーユに息子エティエンヌは面会しないという疑問。孫が大きくなっても、カトリーヌ・ドヌーブはいつまでも若いという疑問、これは仕方がないか。などなど、なにしろ159分という長い映画、大きくは三部作のようだが、細かい点を挙げればきりがない。植民地でのフランス人の生活の驚くほど優雅なことや、やはりフランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーブの素晴らしさを、風光明媚なヴェトナムの景色が心に残る映画です。


インドシナというと、思い出すのはマルグリット・デュラスの自伝的な作品を映画化した「ラマン/愛人」です。背景は「1929年、フランスの植民地インドシナ(現在のヴェトナム)」とあります。「インドシナ」は三世代を描いた女性の歴史のようなものですが、「ラマン/愛人」とほぼ同年代のインドシナを描いた映画です。比較にはなりませんが、ついつい比較して観てしまいました。


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