単身赴任で少し落ち着いた時に、部長に連れられて訪れたラウンジ。

 

独特な落ち着きと上品さに、日々の慌ただしさを忘れる瞬間がそこにあった。

 

何度か通ううちに、ある日初々しい笑顔が目に留まる。

 

「いらっしゃいませ」と軽やかに声をかけてきた彼女。

 

真剣ながらもどこか無邪気な雰囲気が、彼女の魅力を際立たせていた。

 

彼女は昼間はオフィスで働き、夜はラウンジでアルバイトをしていると言う。

 

その頑張りに思わず感心しながら、

 

「こんなに可愛らしい笑顔を持つ人がいたなんて」と感動を覚えた。

 

何度かラウンジに通い、彼女と話す時間が増えていく中で、

 

思わぬ共通点が見つかった。

 

学生時代、僕はバンドでボーカルをしていて、

 

彼女はキーボードを担当していたと知った瞬間、

 

まるで長年の友人に再会したような気持ちになった。

 

その話題をきっかけに、音楽の話や学生時代の思い出で盛り上がり、

 

彼女の笑顔がさらに近く感じられるようになった。

 

「LINE交換して、また今度ゆっくり話そうよ。」

 

僕の言葉に彼女が微笑んで頷いた瞬間、その場の空気が少し柔らかく変わった気がした。

 

そんなある日、彼女との何気ない会話の中で、彼女が独身であることを知った。

 

そして、かつて結婚を考えた相手がいたが、彼の女癖の悪さを理由に

 

別れる決断をしたと静かに語ってくれた。

 

「信じていた人に裏切られるのは、本当に辛かった」とポツリと呟いた彼女の瞳に、

 

過去の傷が垣間見えた。

 

その後も彼女は何度か出会いを繰り返したものの、

 

結婚を考えられる相手には出会えなかったのよと言う。

 

それから少し時間をおいて、彼女が僕も見つめ、「能登へドライブでも行かない」と

 

僕は即「行きます」と笑って答えた。都合のいい日をLINEしてねといい

 

お店を後にした。

 

店の外で、笑って手を振る彼女見て、僕の中に新しい感情が芽生えた。