彼女とは、週末になると僕の家で一緒に暮らしていた。
彼女の部屋着も、僕のタンスにそっとしまってある。
まるで、そこが彼女のもうひとつの居場所みたいに。
バイトを辞めて不動産屋のみで働き始めた彼女は、
仕事が終わると車で僕の家まで来るようになった。
駐車場には空きがあって、週末はそこに彼女の車が並ぶ。
彼女の方が早く終わるので、一旦家に帰り
色々作って持ってくる様になった。
僕も帰り道で何か買って帰り、二人で映画御見たり
ゲームをしたり、楽しい時間をすごした。
週末は、いろんな場所へ出かけて、たくさん笑って、
たくさん思い出を作った。
冬には雪が深く積もり、外出は控えて家でのんびり過ごしたり、
近くの温泉でほっこりしたり。
そんな時間も、僕らにとっては宝物だった。
でも、楽しい時間はいつか終わる。
僕は単身赴任。いつかは転勤の辞令が来ることを、
二人ともわかっていた。
それでも、週末が楽しすぎて、一緒にいることが幸せすぎて、
そんな現実を忘れていた。
そして、9月のある日。部長に呼ばれた。
「10月1日か、10月15に転勤してほしい」と言われた。
内々示だった。 僕は少しでも長く彼女と過ごしたくて、
10月15日を希望し、部長もそれを受け入れてくれた。
北陸に来てから3年、彼女と出会って2年アット言う間であった。
楽しい日々だと時間の感覚がなくなるのか。
その日のうちに、彼女に伝えた。
「そんな急に決まるものなの?」と驚く彼女。
彼女の声を聞いた瞬間、
動揺しているのが手に取るように分かった。
僕も同じ気持ちだった。
心の奥がざわついて、落ち着かない。
でも、会社の決定には逆らえない。
僕は、ただ静かに頷くしかなかった。
この結末がいつか来ることは、二人とも分かっていた。
それでも、突然の異動は心に深く突き刺さる。
幸せな日々の終わりが、こんなにも苦しく、
切ないものだなんて—— 思っていた以上に、胸が痛んだ。
