「彼女と別れて1年」

 

時間の経過が癒しになるはずが、

 

むしろ新しい形の孤独が訪れている気がする。

 

部長の辞令を手にしたあの日、

 

僕の心は驚きと緊張でいっぱいだった。

 

そして、会社の「断る=退社」の暗黙のルールがある、

 

家族と離れ北陸での新生活を選ばざるを得なかった。

 

転勤先では、同じく単身赴任の仲間たちがいて

 

共感し合えるとは聞いたものの、

 

慣れない土地での一人の荷解きの寂しさは計り知れない。

 

子供たちの笑い声や妻の何気ない会話が、

 

どれだけ日々の支えになっていたのかを痛感した。

 

 

特に冬の北陸は僕の心身を鍛えた。

 

仕事へ行く前の雪かき、 一汗かきながら出勤。

 

そして仕事が終わり帰宅前は車の雪下ろし。

 

これを毎日繰り返すことで、

 

静寂に包まれた夜の家での一杯の温かいコーヒーが

 

どれだけ貴重な瞬間かを改めて知った。

 

テレビは相変わらず無言の友達であり続けているけれど、

 

自分の新な発見もあった。

 

掃除、洗濯、料理を工夫してみたりと、

 

今まで気づかなかった自分の新たな面に触れるようになった。

 

それでもやっぱり、

 

月に1度帰省し家族に会う瞬間は言葉では言い表せない。

 

出会えた時の抱擁、そして子供たちの「パパ!」という声が、

 

このひと月の全ての疲労を吹き飛ばしてくれる。

 

それを糧にまた次の一カ月を乗り越える。

 

単身赴任は確かに辛い。

 

それでも、人生の中でのこの挑戦が、

 

自分自身を深める旅でもあると信じている。

 

家族と共有する思い出や愛情の重さを新たに知り、

 

人生の繊細な味わいを感じる日々だ。