ソン・ウォンピョンの「アーモンド」を読んだ! | とんとん・にっき

ソン・ウォンピョンの「アーモンド」を読んだ!

 

ソン・ウォンピョンの「アーモンド」(祥伝社:令和元年7月20日初版第1刷発行、令和2年12月10日第18刷発行)を読みました。


全世代の心を打つ感動と希望の名作、重版続々!

2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位

 

韓国で40万部、13ヵ国で翻訳。」

「涙が止まらない」と絶賛の嵐‼

 

”感情”がわからない少年が、

愛によって生まれ変わるまで・・・

扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。祖母は彼を「かわいい怪物」と呼んだ。十五歳の誕生日に、祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ黙って見つめているだけだった。母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」などの感情を丸暗記させて、”普通の子”に見えるように訓練してきた。だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちに。そんなとき現れた、もう一人の”怪物”ゴニ。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく・・・。

 

「アーモンド」は、感情を感じられず他人の感情もわからない主人公ソン・ユンジェと、物心もつかないうちに親とはぐれて不良少年となったゴニ、二人の少年の成長物語だ。それぞれの理由から「怪物」と呼ばれ、クラスの仲間からも社会からも浮いた存在だった彼らが、さまざまな出来事を経験し、失ったものを取り戻しながら成長していく過程が、ユンジェの視線で淡々と語られる。

物語は、ユンジェの視線を通して、「共感」と「愛」について私たちに問いかける。短期間に急成長した韓国社会を表すキーワードは「競争」だ。厳しい受験戦争、就職戦線、高い失業率…。人に先んじ、少しでも多くのものを持っていなければ生き残れないのだ。他人の痛みの寄りそうどころか、自然な感情さえ持っていては生きづらい社会の中で、「共感」が育つ余地はどんどん小さくなっている。そして、それは日本の現状とも相通じるのではないか。

(「訳者あとがき」より)

 

ソン・ウォンピョン:

11979年、ソウル生まれ。西江(ソガン)大学校で社会学と哲学を学ぶ。韓国映画アカデミー映画科で映画演出を専攻。2001年、第6回「シネ21」映画評論賞受賞。2006年、「瞬間を信じます」で第3回科学技術創作文芸のシナリオシノプシス部門を受賞。「人間的に情の通じない人間」、「あなたの意味」など多数の短編映画の脚本、演出を手掛ける。2016年、初の長編小説「アーモンド」で第10回チャンビ青少年文学賞を受賞して彗星のごとく登場(2017年刊行)、多くの読者から熱狂的な支持を受けた。2017年、長編小説「三十の反撃」で第5回済州4・3平和文学賞を受賞。現在、映画監督、シナリオ作家、小説家として、幅広く活躍している。