村上龍の「ユーチューバー」を読んだ! | とんとん・にっき

村上龍の「ユーチューバー」を読んだ!

 

村上龍の「ユーチューバー」(幻冬舎:2023年3月30日第1刷発行)を読みました。

 

古い本を整理しようと思っていたら、村上龍の「海の向こうで戦争が始まる」がなぜか捨てられなくて、残しておきました。確か村上龍の第2作だったと思います。残念ながら読んだとは思うのですが、芥川賞を受賞した「限りなく透明に近いブルー」は見つかりませんでした。

 

さて、本屋をぶらぶらしていると、平積みされていた黄色い表紙の「ユーチューバー」が目に留まり、ついつい買ってしまいました。タイトルが今風でしかも、著者が村上龍、とくれば、読まないわけにはいきません。副題に「自由、希望、そしてセックス」とあります。最新長編小説。

 

目次

ユーチューバー

ホテル・サブスクリプション

ディスカバリー

ユーチューブ

 

「今でもよく覚えているのが、雨の日、彼女は、傘をさして、水色のレインコートを着て、アパートの前の通りをこちらに向かって歩いてきました。水色のレインコートがよく似合っていました。うーん、よく似合っていたというレベルじゃなかったんです。髪は短かった記憶があります。水色のレインコートが、ぼくの小汚いアパートの景色の中で、際立っていたんです。今でもよく覚えています。それで、彼女は、一年ちょっと付き合って、ぼくから去っていったんです。ケンは、ケンって彼女はぼくをそう呼んでいました。ケンは、これからいろいろな人と出会うよ。それが、ぼくと別れる理由でした。じゃあね、そう言って去っていきました。ぼくはその喪失感で、これまで生きてきたような気がします。その喪失感で、小説を書いて、ずっと後悔しました。別れるんじゃなかったと思って、生きてきた気がします」(「ユーチューバー」より)

 

村上龍:

1952年長崎県生まれ。

1976年「限りなく透明に近いブルー」で第75回芥川賞受賞。

「コインロッカー・ベイビーズ」で第三回野間文芸新人賞、

「半島を出よ」では第五八回野間文芸賞、第五九回毎日出版文化賞を受賞。

「トパーズ」「KYOKO」ほか映画化・監督作品も多数。

最新作は「MISSING失われているもの」。

メールマガジン「JMM」を主宰。

「カンブリア宮殿」(テレビ東京)にメインインタビュアーとして出演。

 

「海の向こうで戦争が始まる」

1977年6月24日第1刷発行

著者:村上龍

発行所:株式会社講談社