国立西洋美術館で「版画で『観る』演劇」を観た！

版画で「観る」演劇

フランス・ロマン主義が描いた

シェイクスピアとゲーテ

国立西洋美術館で「版画で『観る』演劇」を観てきました。

18世紀後半から19世紀前半にかけて勃興したロマン主義運動は、文学・音楽・美術など分野を超えて展開し、なかでもフランス・ロマン主義においては外国文学を着想源とした情感豊かな作品が生み出されました。特に古典演劇の規範から外れた自由な構成で、運命や自然に抗い苦悩する人間の姿と心理を描いたシェイクスピアとゲーテの戯曲は様々な芸術家たちに影響を与え、美術においては画家ウジェーヌ・ドラクロワ（1798-1863 年）とテオドール・シャセリオー（1819-56 年）に霊感をもたらしました。

本企画では、当館所蔵作品より、ドラクロワ最初の文学主題版画とされる《魔女たちの言葉を聞くマクベス》をはじめ、ロマン主義版画における金字塔ともいうべき連作の数々―ドラクロワの〈ファウスト〉と〈ハムレット〉、そしてシャセリオーの〈オセロ〉―を展覧します。同時代の舞台表象の影響をうかがわせる一方で、いずれも場面にみなぎる感情の描出において独創性を有するこれらの作品は、まさに二人の画家の綿密な精読と豊かな想像の結実ともいうべきものです。

ドラクロワとシャセリオーによって命を吹き込まれた登場人物たち、そして鮮烈に描き出されたドラマの数々をご堪能ください。

「ファウスト」

ファウスト─悲劇第1部

※ゲーテ『ファウスト』は「プロローグ」、「悲劇第一部」、「悲劇第二部」の三つで構成されている。本稿では、ドラクロワの連作に直接関係する物語として、「プロローグ」より「天上の序曲」と「悲劇第一部」を構成するふたつの悲劇のあらすじを簡単に紹介する。

天上の序曲

天上界で、地上の人間ファウストを悪の道へ引き入れ、その霊魂を手に入れようと狙う悪魔メフィストフェレスと、善い人間は衝動に駆られても正道を忘れることはないと主張する神との間に、ファウストの霊魂の帰属をめぐって賭けがなされる。メフィストフェレスは主の許しのもと、ファウスト誘惑の仕事に着手する。

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学者悲劇

グレートヒェン悲劇

「ハムレット」

第1幕

デンマークのエルシノア城壁に今は亡き先王ハムレットの亡霊が現れる。一方城内では先王の弟クローディアスが戴冠し、先王の妃であったガートルードを王妃に迎えていた。ひとり喪服に身を包んだハムレット王子は、母の行為を亡き父への裏切りと捉え、胸が裂ける思いでいた。王子は親友のホレイショーらとともに歩哨に立ち、自ら父の亡霊と会う。そこで父は現王である叔父に毒殺されたと知らされた彼は、決然と復讐を誓う。一方、宰相ポローニアスは息子レアティーズをフランスに送り出し、王子から愛を告白されたという娘オフィーリアには王子との付き合いを禁じる

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第2幕

第3幕

第4幕

「オセロ」

第1幕

ムーア人オセロはヴェニス軍の総指揮を任された偉丈夫で、元老院議員ブラバンショーの愛娘デズデモーナと内密に愛の誓いを交わした。彼の部下で古参の旗手イアーゴーは、若きキャシオーを副官に任ずる人事に反感を覚え、デズデモーナに横恋慕するロダリーゴーを唆して彼女の失踪を父親に告げ口させる。トルコ艦隊がサイプラス島を急襲するとの知らせを受け、オセロが元老院の会議室に赴いたところ、彼と娘の探索に出向いたブラバンショーが、娘をかどかわしたとオセロを訴え出る。しかし現れたデズデモーナは二人の恋の次第を理路整然と述べ、夫の出陣に付き添う決意を告げる。

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第2幕

第3幕

第4幕

第5幕