千葉市美術館で「ジャポニスム 世界を魅了した浮世絵」を観た!その1 | とんとん・にっき

千葉市美術館で「ジャポニスム 世界を魅了した浮世絵」を観た!その1

 

 

千葉市美術館で「ジャポニスム 世界を魅了した浮世絵」を観てきました。

 

ジャポニスム 世界を魅了した浮世絵

19世紀後期〜20世紀初めにかけて、大量に海を渡った日本の美術工芸品は、西洋の美意識に大きな影響を与え、ジャポニスムという動向として広がっていきます。中でも浮世絵版画は、多くの西洋画家たちに直接影響を与えたことが知られています。西洋の芸術家たちが浮世絵に出会った時、何を新しいと感じ、感動し、自らの芸術に取り入れようとしたのでしょうか。この展覧会は、ジャポニスムの画家たちの作品が浮世絵から取り入れた視点をきっかけとして、浮世絵の特性と魅力を再発見しようとするものです。浮世絵の名品を中心に、欧米、ロシアからジャポニスムの作品を加えた約220点を展示する、これまでにないユニークなテーマの浮世絵展です。

 

ジャポニスム

江戸時代を通して大衆にとって身近な存在であった浮世絵版画は、明治時代に西洋からもたらされた”美術”という価値観に値するものとも気づかれることのないまま、大量に欧米に渡り、ジャポニスムと呼ばれる動向を導きました。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ
「少女の肖像」『ラ・ムスメ』」
1888年

 

ジュール・シェレ
「『日本の巨匠展』のためのポスター」
1890年

 

大浪のインパクト

葛飾北斎のこの作品は、世界で最も有名な浮世絵と言えるでしょう。そのインパクトは、西洋の芸術活動に大きな影響を与えました。

 

イワン・ビリービン
「アレクサンダー・プーシキン著
『サルタン王物語』挿絵」
1905年初版

 

葛飾北斎
「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
天保2-4年(1831-33)頃

 

江戸っ子の誇り

――水の都・橋と船のある風景

水の都江戸では、隅田川を中心に江戸っ子が誇る橋があり、その景観が愛されて浮世絵に多く描かれました。橋脚を大きくとらえる独特の構図が印象的です。

 

歌川広重
「名所江戸八景 京橋竹がし」
安政4年(1857)

 

ジェイムズ・アボッド・マクニール・ホイッスラー
「広い橋」1878年

 

鳥の眼

――空飛ぶ浮世絵師

周囲に高台や建物がなくても、浮世絵師は頭の中で自在に視点を高くして風景を描きました。この影響を受けて、西洋画でも俯瞰図が多く描かれるようになり

ます。

 

五雲亭貞秀
「東都両国ばし夏景色」安政6年(1859)

 

歌川広重
「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」
安政4年(1857)

 

色彩としての黒

黒=墨は、浮世絵版画の色の中でも、最も重要で効果的な色とされいます。西洋版画にも取り入れられた、黒い線と面の印象的な表現に注目します。

 

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鈴木春信
「夜の梅」明和3年(1766)頃

 

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
「ディヴァン・ジャポネ」1893年

 

驟雨――自然・瞬間・風情

降る雨や雪を描く絵は伝統的な西洋画にはほとんどありませんでした。なぜ浮世絵は、自然が見せる一瞬の表情を、主題に取り上げてきたのでしょうか。

 

喜多川歌麿
「大木の雨宿り」寛政11-12年(1799-1800)頃

 

フェリックス・ヴァットロン
「にわか雨―『強烈なパリ』より」1894年

 

展示構成

プロローグ  ジャポニスムとは何か? 

第1章 大浪のインパクト 

第2章 水の都―江戸・橋と船 

第3章 空飛ぶ浮世絵師―俯瞰の構図 

第4章 形・色・構図の抽象化 

第5章 黒という色彩~影と余韻 

第6章 木と花越しの景色 

第7章 四季に寄り添う―雨と雪 宇

第8章 母と子の日常 

エピローグ 江戸の面影―ジャポニスム・リターンズ

 

 

以下、会場で撮影した作品の一部

 

 

渓斎英泉「雲龍打掛の花魁」
文政(1818-30)後期・天保(1830-44)前期

 

鳥居清倍
「二代目市川団十郎の虎退治」正徳3年(1713)

 

葛飾北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」天保2-4年(1831-33)

 

ファーリレイエフ、ヴァディム・ドミトリエヴィッチ
「カプリ島、波浪」1911年

 

喜多川歌麿「両国橋納涼」寛政7-8年(1795-96)

 

歌川広重
「名所江戸百景 京橋竹がし」安政4年(1857)

 

ファリレーエフ、ヴァッディム・ドミトリエヴィッチ
「高い橋」1927年

 

歌川広重
「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」安政4年(1857)

 

葛飾北斎
「富嶽三十六景 凱風快晴」天保2-4年(1831-33)」

 

鈴木春信「夜の梅」明和3年(1766)頃

 

以下、「その2」へ続く

 

朝日新聞:2022年2月15日