「最後の文人 石川淳の世界」を読んだ! | とんとん・にっき

「最後の文人 石川淳の世界」を読んだ!

 

「最後の文人 石川淳の世界」(集英社新書:2021年4月21日第1刷発行)を読みました。と言っても、ざっとですが…。

 

石川淳の著作は、「選集」をはじめ、けっこう持っていると思いますが、恥ずかしながら今までちゃんと読んでいない。「選集」は買ったはいいけどけっこう読みづらい。従って読むのは文庫本が多かったように思います。「普賢」や「佳人」、「焼跡のイエス」等々、文庫本で読みました。「江戸人の発想法について」と、「マルスの歌」は、比較的短編なので、今回急いで読んでみました。単行本で「狂風紀 上・下」を発売と同時に買いましたが、なぜかほとんど読んでいません。

 

田中裕子が、石川淳の「江戸人の発想法について」から多大な影響を受けていたことを、松岡正剛との対談で知りました。朝日新聞の「語る 人生の贈りもの」にもある通り、石川淳に相当な影響を受けていたようです。

田中優子+松岡正剛の「日本問答」を読んだ!

田中優子×松岡正剛の「江戸問答」を読んだ!

 

以下、山口俊雄による「おわりに」から。

本書は、2019年12月27日に日本女子大学目白キャンパスで開催された 文学部・文学研究科学術交流企画シンポジウム「1980年代の<

石川淳>と<江戸>」の研究発表者・シンポジストに、当日の発表内容をふまえて執筆してもらった論考をまとめたものである。

新書という形で出すということもあり、石川淳に不案内な人たちにも読んでもらえるよう敷居を低くする工夫はしたつもりだが、内容を薄めるようなことは一切していない。

 

「石川淳はこんなにおもしろいのだから読み継がれなくてどうするのだというのが編者をはじめ本書の執筆者全員の思いである・・・」。「難しいけどおもしろい。難しいからおもしろいのが石川淳」。

 

とはいえ、この本、敷居を低くする工夫はしたとはいえ、扱う幅が広すぎ、かなり難しいというのが、僕の感想です。いずれにせよ、石川淳を理解するには、恥ずかしいけど、まだまだ道は遠いという実感です。

 

「読書リスト12選」がついています。これは便利です。

長編が「普賢」「荒魂」「天馬賦」「狂風記」の4編。短編が「佳人」「山桜」「マルスの疑い」「焼跡のイエス」「かよひ小町」「紫苑物語」の6編。論考が「江戸人の発想法について」「江戸文学掌記」の2編。

 

以下、集英社からの案内

 

なぜ、今、石川淳なのか?
戦時下から戦後を生きた孤高の作家・石川淳の作品には、不自由への〈不服従〉、囚われからの自由を求める人の精神のありようが書き込まれている

内容:
グローバリズムと新自由主義が世界を制覇しつつある今日、人々の自由はむしろ制限されつつあり、閉塞感や分断が拡大している。
今、なぜ石川淳なのか?
この孤高の作家を読み解くキーワードは「自由」。
古今東西の書物世界を軽快な「精神の運動」で往還した石川の姿勢は知的自由の体現であった。
だから、多くの知識人が戦時体制になびいた時代にも、石川は黙らなかった。
かくして作品の発禁後、石川は自由を求め江戸の世界に向かう。
石川作品には不自由に抗する不服従の精神が刻まれている。
本書は5名の識者の解説を通じ、その作品と「絶対自由」の世界に誘う。

主な内容:
第1章 絶対自由を生きる 田中優子
第2章 石川淳の〈江戸〉をどう見るか 小林ふみ子
第3章 石川淳『狂風記』論――〈江戸〉がつなぐもの 帆苅基生
第4章 石川淳流〈不服従の作法〉―「マルスの歌」 山口俊雄
第5章 たとえば「文学」、たとえば「佳人」

     ――総合的石川淳論の方へ 鈴木貞美 

執筆者略歴:
田中優子(たなか ゆうこ)
法政大学前総長。著書に『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫)他多数。
小林ふみ子(こばやし ふみこ)
法政大学教授。著書に『太田南畝 江戸に狂歌の花咲かす』(岩波書店)等。
帆苅基生(ほがり もとお)
弘前大学助教。
山口俊雄(やまぐち としお)
日本女子大学教授。編著に『日本近代文学と戦争』(三弥井書店)。
鈴木貞美(すずき さだみ)
国際日本文化研究センター、総合研究大学院大学名誉教授。著作多数。

僕の手持ちの石川淳の著作の一部

(他に文庫本など多数ありますが・・・)

 

「石川淳選集」全17巻

著者:石川淳

発行所:岩波書店

 

「石川淳選集」全17巻 岩波書店

1980年12月8日第21刷発行

「江戸人の発想法について」

 

「狂風紀 上・下」

「昴」連載 1971年2月~1980年4月

1980年10月10日第1刷発行

著者:石川淳

発行所:株式会社集英社

 

「現代日本文学館31 石川淳」

昭和44(1969)年1月1日第1刷

著者:石川淳

発行所:株式会社文藝春秋

 

世田谷文学館で、石川淳の展覧会が催されていました。

 

2021年度コレクション展

受贈記念 「夷齋先生・石川淳」

2021年4月24日(土)~9月26日(日)

 

「世田谷文学館」ホームページ

世田谷文学館 - 文学を体験する空間 (setabun.or.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

たまたま朝日新聞が「語る 人生の贈りもの」と題して、田中優子を取り上げていました。この本との関連は「6」に詳しい。

 

朝日新聞:2021年7月5日

 

朝日新聞:2021年6月28日