「クレラー・ミューラー美術館」を観た! | とんとん・にっき

「クレラー・ミューラー美術館」を観た!


「クレラー・ミューラー美術館」を観てきました。行ったのは4月17日。オランダの中央部、野生の鹿やリスが生息するという、55k㎡という広大な敷地の「デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園」。公園の雄大な自然を散策するために、公園の入口には“白い自転車”が置かれており、誰でも自由に乗ることとができます。クレラー・ミュラー美術館はその一角にあります。芸術を愛する富豪夫妻が1938年に設立したものです。


ドイツの裕福な家庭に育ったヘレーネ・ミュラーは、娘の美術史の講師として招いた美術評論家H・P・ブレンマーと出会います。以降、講義の受講に留まらず、ブレンマーのアドバイスと、会社経営者で夫のアントン・クレラーの経済的・精神的協力のもと、絵画収集に傾倒します。ゴッホだけでも油彩画90点、デッサン110点を集めました。やがて彼女は、自身の集めた作品を展示する美術館の創設を計画します。しかし、1920年代には、夫の会社が巨額の損失を出し、美術館の建設はもちろん、作品の購入ができない時期が訪れます。ヘレーネ自身も神経症を患い、美術館の建設は困難をきわめました。美術館創設が実現するのは、ミュラー社がもつ土地とコレクションをデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園協会とオランダ政府へ譲渡した後の1938年のことでした。(週刊世界の美術館NO.46より)


クレラー・ミューラー美術館の目玉は、なんと言ってもゴッホの「夜のカフェレラス」です。すぐ近くで、ゆっくりと観ることができました。2005年5月、うんざりするような炎天下のなか、それでも「夜のカフェテラス」見たさに、長蛇の列の最後尾に並びました。なんと100分待ちの掲示が出ていました。その時に書いたブログには「人だかりがしていたのはやはり、『種まく人』『黄色い家』『夜のカフェテラス』の3つの作品が並んでいるところでした」とありました。ゴッホ展は最近では、2010年10月に国立新美術館でありました。「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」というタイトルでしたが、やはりかなり混んでましたね。


クレラー・ミューラー美術館のことも、実はほとんど何も知りませんでしたが、これほどまでにゴッホの作品を所蔵しているとは思ってもみませんでした。「アルルの跳ね橋」も「星月夜の糸杉のある道」もいいですね。「4本のひまわり」、ドアップしたひまわりの画面、迫力があります。ミレー風の「夕陽と種まく人」や「プロヴァンスの麦積み」もありました。ルーラン夫妻がゴッホに描かれています。表情がそれぞれいいですね。「郵便配達夫」と「子守女」です。


が、それだけで驚いてはいられません。ゴッホの作品以外の、その他の作品もあるはあるは、次々と出てきました。モンドリアンの「赤と黄色と青のコンポジション」「ダイヤモンド型コンポジション」、ピカソの「ヴァイオリン」や、ファン・グリスの「ギターのある静物」、バルト・ファンデル・レックの「種まく人」等々、モダンアートや抽象画のコレクションも凄い。今回僕は観ることができませんでしたが、屋外の彫刻コレクションがこれまた凄い。25万㎡という広大な庭園には、19世紀と20世紀の彫刻作品が100点以上展示されています。


話はずれちゃいましたが、凄いのはゴッホ以外のコレクションです。一つ目小僧のルドンの「キュクロプス」、この作品もこの美術館の目玉ですが、眠るニンフは怪物が求めていた母性を表すという。50歳頃まで黒単色で描いていたルドンが“色彩”に目覚め、それを究めた晩年の作品です。色彩といえば、ルドンの「勝ち誇るペガサス」の鮮烈な赤が強烈な印象を与えます。いや、それだけでなくナビ派の画家モーリス・ドニの「4月」、点描で新境地を開いたスーラの「シャユ踊り」、「ポール・タン・ベッサンの日曜日」、同じく点描のシニャックの「朝食」もありました。ルノワールの哀愁が漂う「ピエロ」、いいですね。エドワール・マネの「男の肖像」、ポール・セザンヌの「湖への道」、そしてポール・ゴーガンの「アティティの肖像」はここで初めて知りました。なにしろ美術館のある場所が、なによりも素晴らしい。たまたまヤン・ファーブルの特別展が開催されていました。






ゴッホの作品







その他の作品(ゴッホ以外)








特別展:ヤン・ファーブル



とんとん・にっき-ho9 「クレラー・ミューラー美術館」

図録

著者:ハンス・デン・ハルトッグ・ヤーゲル
出版:財団クレラー・ミュラー美術館





とんとん・にっき-ho5 「至高のファンゴッホ」

ハンス・デン・ハルトッグ・ヤーゲル著

出版:クローラー・ミュラー美術館協会