大森東・厳正寺の「水止舞」を観た! | とんとん・にっき

大森東・厳正寺の「水止舞」を観た!






盂蘭盆会の7月14日の午後、大森東の厳正寺で680年以上続いているという「水止舞」が見られるというので、行ってきました。「水止舞」は、龍神に扮した若者らの行列が町内を練り歩いた後、境内に設けられた舞台で奉納唄に合わせて3匹の獅子が舞を披露するものです。この日は必ず雨が止むことから、近隣の人たちは「照り水止」と呼んでいる雨止め祈願の舞です。この「水止舞」は、東京都の無形民俗文化財に指定されているそうです。





「水止舞」は今から680年ほど前、後醍醐天皇の頃の住職・第二世法蜜上人が行った長雨止めの祈祷に由来しています。大干魃の時には祈祷をして見事雨を降らせました。その2年後、今度は雨が数十日間降り止まなかったので、この長雨は雨乞い祈祷をした性だと農民は恨みました。そこで上人は、3頭の龍像を彫って「水止(しし)」と名付けて農民たちにかぶらせて舞を舞わせ、太鼓を叩かせ、法螺貝を吹かせたところ、黒雲は消えて太陽が姿を現したという。喜んだ人びとによりその後、転変地変の度に水止舞を奉納したそうです。(厳正寺縁起史より)







1時ちょうど、厳正寺の門から150mほど離れた、大森東中学校の前が「道行」のスタート地点です。藁で編んだ雌雄2匹の龍神が水をかけられながら若者たちに運ばれ、威勢よくお練りの道あけをします。龍の俵の中には屈強な若者が入り、かけられる水もなんのその、法螺貝を吹き続けます。これが最大の見せ場、圧巻です。龍神に水をかけるのは子どもたちの仕事ですが、見ている人にも水がかかります。事情を知っている撮影者は、カメラをビニールなどで覆い、レインコートを着込んでしっかりと防護しています。僕も何度も背中から水をかけられましたが、それも祭に彩りを添えています。カメラを包むビニールやタオルはもちろん、着替えもしっかり用意していきました。寺までの沿道、「道行」は午後1時から約30分でした。





その後、そろいの着物姿で少年たちが青竹で地面を突き叩きながら進みます。続いて、笛士連、その後女装姿の花籠のささらが続き、雌獅子、雄獅子が続きます。境内に入り、舞台が近くなってくると龍は法螺貝を激しく吹き続けます。舞台に上がってしまうと体が解かれてしまうからです。若者たちが一匹ずつ舞台に上げるのが、「道行」最後の見せ場です。舞台では雌獅子、雄獅子、若獅子による「水止舞」が3時まで続きました。出演者はほとんどが小中高校生など、地域の若者です。この日は学校は早退して参加するそうです。さすがに雄雌2匹の龍と、龍を運ぶ若者は屈強な地域の大人でした。小さなお祭りですが、地域密着、地元の人に支えられて長年続いている、素晴らしいお祭りでした。






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