パレスサイドビルと夢の階段! | とんとん・にっき

パレスサイドビルと夢の階段!


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現在、竹橋の「パレスサイドビル」の建っているところは、アントニー・レイモンドの傑作、1951年に建てられた「リーダーズダイジェスト東京支社」のあったところ(たぶん)。残念ながら、僕は観る機会がないままに、「パレスサイドビル」が建てられるので取り壊されてしまいました。その跡に建ったのが林昌二率いる日建設計の設計による「パレスサイドビル」、大部分が毎日新聞社が使っているようですが、容積制移行前の駆け込み申請で、法の逆手を取って延べ面積を目一杯取った建物です。二つの円筒コアと雁行する二つの直方体を並べた明快なプラン。立面は現場組立式のカーテンウォールと垂直に通る雨樋、水平ルーバーによる日除け等、単純な構成。遊び心も忘れません。今は使われていませんが、交番は警官の帽子から形を取っています。できた頃は帽子の縁は赤い色でした。庇が面白い。唐傘を逆転したような形で、ビルの入り口を特徴づけています。


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地上1階と地下1階を結ぶ二つの階段、たしか「夢の階段」と名付けられた林昌二ご自慢の素晴らしい階段です。ステンレスパイプに張ったステンレスネットに段板を吊るという画期的な構造で、軽く仕上がっています。あれっ、以前はなかったはずなのに、下段の方に余計なパイプが付いている。「なんじゃ、これは」と思っていたところ、日経アーキテクチュア2007-7-9号で、「されど、手すり」という特集が載っていました。その中で林昌二が「過保護時代を痛感する出来事」として、この手すりについてコメントを寄せていました。ビルの管理者から高齢者がこの階段でつまずいたとクレームがあってので、なんとかして欲しいと言われ、やむを得ず、手すりを付け加えたと、その顛末を述べ、「それが本当の安全なのだろうか?」と疑問を呈しています。


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