先週、欧州最大のゲームイベントで''謎の新規スタジオ開発''として『P.T.』と呼ばれるゲームが配信されましたので、プレイしました。
攻略情報を書く訳でもなく、私がプレイした感想や解説を長々と書くだけなので、攻略探しに来た人は別をあたってください。
「史上最も恐いゲーム」などと、既に話題沸騰中となっているので、今頃記事にする必要があるのかとの疑問ですが、やっと落ち着いて書ける時期になりましたし、せっかくなのでこのネタを使おうと。
''ほとんど分かってるよ''情報を書くだけですが。
この『P.T.』についてですが、いきなり発表されて、パラノーマルアクティビティのような予告映像を見せられ、同時にPSstoreでデモを配信という、稀な宣伝方法をとったゲームで、ダウンロード前に詳細を確認すると「心臓に弱い方はプレイを控えてください」などという注意書きが。
なんだなんだと期待を寄せてプレイしたところ…
このゲーム、本当に恐ろしい。
今作は、FPSで操作も、RスティックとLスティック(押し込み含めて)しか使わないかなりシンプルな操作性で出来ています。
プレイし始め、いきなり冒頭でゴキブリの交尾を見せられてゲンナリした挙句、一家殺人事件の起こったフロアを舞台に話が展開。
もう嫌ですよね。かなり趣味悪い。
''曰くつき''なので当たり前ですが、ただものではない雰囲気を漂わせるこのフロア。
ラジオからは先ほど言った「一家殺人事件」に関するニュースが流れ、詳しくは覚えていないのですが、「妊娠中の妻と10歳の娘と6歳の息子が夫に殺された」との事。
最初は何事もなく探索して、玄関のドアを開けて出ようとしたのですが、このフロアはループするんですよね。
いくらドアを開けても外に出ることは出来ず、おまけにループする度にフロアに異変が起きます。
ドアからいきなりノックされたり、閉まっていた洗面所から赤子の泣き声が聞こえてドアが勝手に半開きに開いたり、ドアを覗けば誰かが勝手に閉めたり。
次に部屋をループして、角を曲がれば、何者かがこちらを見ている。
ところで、このゲームはR3ボタンを押すと注視(ズーム)するんですが、これがいわゆる、モノにアクションを起こすといった動作になるようで、もう少し分かりやすく言うと、ゲームによくある「調べる」といった動作です。『P.T.』は気になった箇所に注視する事で、何らかのアクションを起こして、先に進めるといった具合です。
チュートリアルは全くないので迷います。部屋をループしても、何も起こらなかったり、あるいはループに繋がるドアが閉まっていたりすると、「謎を解かないと先に進めないよ」ということになります。謎解きの難易度が高いんですよね。
チュートリアルは全くないので迷います。部屋をループしても、何も起こらなかったり、あるいはループに繋がるドアが閉まっていたりすると、「謎を解かないと先に進めないよ」ということになります。謎解きの難易度が高いんですよね。
部屋をループしても、状況はループしないと考えるのが良いです。
そうやって迷いながらも、フロアを探索していると、何やら足音が余分に聞こえてきます。それどころか、うめき声が背後に聞こえておかしいなぁと。
そして、ラジオから断片的にプレイヤーに伝えているであろうメッセージが聞こえてきます。
「水道水は危険だ。」
「204863」
「後ろを向きなさい」
と言われ、馬鹿正直にもクルッと後ろを振り返ると…
うわぁぁあああ!!!
な事になるので、気をつけてください(笑)
自分は今まで『Dead Space』や『Outlast』など、かなり恐いとも言われるホラーゲーを結構楽しんできたつもりですが、『P.T.』に限ってはもう限界ですね。トラウマレベルになりますので、自分で怖がりだなと自覚してる人は本当にプレイしない方がいいと思います。
あまりに謎解きが難しく、Twitterで答えを探しつつも、掲示板などで情報交換してなんとか先に進む事ができました。
ある場面でいきなり主人公の歩行スピードが変わって(むしろ走っている)、部屋に飾っていた絵画全てが、動く目玉の映像に切り替わり、なんとも気持ち悪い。
プレイすれば分かるんですが、明らかに『LSD』というPlaystationの頃に販売された幻のゲームに似ていて、懐かしく感じました。
そこから一昔前のびっくりフラッシュみたいな謎の画面に変わって終わりかと思いきや、部屋がまたループして、このゲーム最大の難問に突入。
簡単に言いますと
エンディング前の謎解きが難しすぎる!
かなり悩まされました。
クリア条件が「棚に置いてある電話器からコールされるとクリア」なんですが、その電話がかかる条件が全く分からない。
調べれば「洗面所にいる赤ちゃんが2回泣けば電話がかかるよ!」という情報を聞きましたが、そもそも赤子が泣く条件も分からん!って事になって。
このフロアにはデジタル時計が23時59分の設定で設置されているんですが、00時00分になると、フロアに鐘が鳴り響き、時々プレイヤーの見ていない方向から幽霊が出現します。下手すると殺されてしまうので、楽に探索が出来なくなります。
現れても幽霊に接触しなければ良いだけの話ですが、恐いんですよね。かなり。
これには世界中のユーザーも苦戦したようで、早くで半日でクリアした人はいるんですが、肝心のクリア条件は分からないと。
というよりも、現在も''確定''といえるようなクリア条件は分かっていません。
クリアしたユーザーの行った手順も皆バラバラで、恐らくは、ランダムで条件が変わるのでは?という結論に至りました。
ここで、少し話を置いて、クリア後について話しましょう。
''謎のゲーム''の配信から半日でクリアして、エンディングに辿りついて判明した『SILENT HILLS』の告知。
サイレントヒルの次回作という事だけでなく、コジマプロダクション製作において、小島秀夫とギレルモ・デル・トロがメインで関わり、ノーマン・リーダスが主人公を演じるという豪華なコラボレーション。
『P.T.』が「プレイアブル・ティーザー(遊べる広告)」の略であり、サイレントヒルズのデモという形で配信されました。実際のゲームデザインの変更はあり得ます。
カンファレンスではなく、ユーザーが実際に体験してから、ゲーム内で電撃発表というやり方は、今までになく大成功したんですから素晴らしいですね。
後に小島秀夫監督のインタビューにて、
「『P.T.』は謎解きに一週間かかるぐらい難易度を高くした。半日にクリアされるとは驚いた」
「全世界のユーザーと配信などを通して謎(クリア条件)を解いてほしい」
と発言していました。
つまり、配信から1週間くらいまでは''謎の新規スタジオ製作''のゲームでありたかったわけです。
Twitterでも「プロが作ったホラー映画はやはりプロが作っているから「作りもの」として見てしまうが、深夜に放送されるような、無名の人が製作したホラー映画はとても恐い」みたいな言い方もされていたので、そういうものを狙っていたみたいです。
確かにデカデカと「小島秀夫監督作品!」と言われるよりも「新規スタジオ製作のデビュー作品」と言われた方が、製作者の顔も想像できない訳で、何でこんな得体の知れないモノを作ったんだよ感はありますね。
そして、クリア条件の話に戻すのですが、このゲームの鍵は「遊べる広告」であることと「全世界のユーザーと一緒に攻略してほしい」という事です。
遊べる広告&ユーザーと共有=PS4のSHARE機能のブロードキャスト(生配信)で解明してくれってことで、ブロードキャストはゲームをプレイしないユーザーも視聴するので、広告に使えますし、同時にコメント機能でアドバイスも出来ます。
フロア探索中に、稀に英語や日本語、そしてイタリア語やドイツ語などで書かれたメッセージが出現する時があります。
これらは、「全世界のユーザーと協力してほしい」というのに繋がりますね。
ちなみにメッセージには「からだがふるえました。」や「電話を待て」などがあります。
「からだがふるえました。」の場合だと、後ろ向きでドアに何度もぶつかる。
「電話を待て」の場合は、そのまま電話器の前で放置。
など、メッセージに言われた通りのアクションを起こすと電話が鳴るそうです。
他にもブロードキャストと言えば、マイクを使ったゲームプレイが主流ですが、その''マイク''も攻略の鍵になっていて、一定のタイミングで、マイクに音声が認識されると、赤子が2回泣いて電話が鳴ります。
「~なるそうです。」ではなく「~なります。」と書いたのは、実際私はこれでクリアすることが出来ました。
7~8時間ほど苦戦してようやく電話が鳴った時の達成感と、ドッと出てくる疲れはホラーゲームならではですね。
他にも色々な攻略法があるんですが、その中で、私がネットから得た情報から、実際に試して成功した面白い攻略法を紹介します。
・ループ開始してデジタル時計前に待機。
・0時になり、鐘が鳴ったら10歩進む
・フロアの角から、洗面所まで4歩、1歩で中に入り、さらに1歩で鏡前で待機。つまり合計6歩で洗面所の中に入るようにする
・鏡前で1歩も動かず、赤子を注視し続け、マイクで音を鳴らす。
・赤子が泣いてコントローラーが振動して電話が鳴る
上記のやり方で、私は2週目をクリアしました。というよりも、このやり方の何が面白いのか?って話なんですが、この攻略法、「歩数」が面白いんですよ。
このフロアで起きた一家殺人事件の被害者は、妊娠中の妻と10歳の娘と6歳の息子。
娘 10歳=10歩
息子 6歳=6歩
妻の腹中の赤子 0歳=0歩(待機)
このように、被害者の年齢が歩数に関係しているのが分かります。妻はどうなんだよって話ですが、主人公を襲う幽霊は妻ですから関係してないかと。年齢も判明してないし。
そう考えると、こういった設定の細かさが攻略に関係するという点でも中々恐ろしいゲームですね。ここまで遊べて「プレイアブル・ティーザー」とは信じられないです。
・走ることもないシンプルな操作性。
・閉鎖されたフロア、日常的な見え方からループするにつれて変化する非日常で異常な現象。
・探れば探るほど解明していき、また増えていく謎。
・タイミングの掴めない恐怖心。
短いながらも、ここまで隙間なく詰めたホラーゲームは滅多にありませんし、ハッキリ言って私がプレイした中で最も恐いゲームです。
正直二度とプレイしたくないんですが、余りある攻略法やユーザー同士の情報交換で解明していく謎が楽しくて、ついつい「今日も赤子を泣かせてみせよう」とばかりにプレイしてしまう中毒性はパーフェクト。
ジャパニーズホラーが再び世界に進出した瞬間を感じましたね。FOXエンジンで描かれるリアルなグラフィックや音響も見事で、次作の『SILENT HILLS』には期待せざるをえない。
どうしても全て書きたくなるので、長々となってしまいましたが、以上にします。
あ、でもせっかくなので最後に『P.T.』で唯一癒しの存在となった、私的マスコットキャラクターを紹介しましょう。