18年前の上海で。 前編。 | pacoの日記

pacoの日記

小さな港町
からの
ひとりごと





今から18年も前のこと。


私はとても不思議な体験をした。



今でもそれを、ほぼ毎年


◯(←子供)の誕生月の八月になると


思い出す。



場所は、上海。





「不思議だなぁ〜。。」


そうとしか言いようのない体験はホンマ、




「なぜか上海」井上陽水♪


だった。











三ノ宮の汚い路上にある


小さな旅行代理店。


その前に置いてある


雨に濡れた一枚物のオレンジのチラシに


目が行った。





それで何の気なしに、


少し濡れたクシャっとなったチラシを


手に取った。




バーゲンセールみたいに上海行き2泊3日が


飛行機・ホテル代込みで3万円弱!


神戸からは、3時間くらいで、


行ける。




この時、脳裏に「なぜか上海」が流れてー。




そのまま駅構内にあるATMへ。



そしてお金をおろし


3万円にぎりしめて、


チラシを見てから10分もかからず


上海への一人旅を、


予約した。





こんなに衝動的に旅行を計画したのは初めてで、、


恐るべし! 井上陽水の歌はっ(驚)


こんなして上海へと旅立った人、


日本中に私を含めて


何人いるのだろうか⁉️





上海なんて、行ったことがない。



中国語も話せずさっぱり…。



そんな私だったが、


その時は色々あったしで兎にも角にも


何処かへ逃避したかった。


逃避先として上海は、


私にはなんとなく、良いような


そんな気がした。





少し衝動的に決めた自分が怖くもあったけれど…


また、その足で三ノ宮センター街の


ジュンク堂に向かった。


上海のガイドブックを買いに。






旅行当日、飛行機は気流に乗ってか


あっという間に「うどん」エアポートに着いた。


うーとん、うーどん と聞こえたので


私は思わず寝ぼけ眼に


「四国」にでも来たのかと思った。





3万円弱の旅行はツアーで、


他の旅行客と皆で様々な場所を周るものだ。


それなので部屋は1人だけど、


団体行動についていくだけなので


言葉が分からなくても、気楽だった。




安いツアーのからくりは、


上海にあるシルク織物の工場に連れていって、


見学の後に商品を観光客に買ってもらうー


というのが メインのようだった。


大勢の工員が働いている中、


私は小さなシルクのティッシュケースだけ


買った。


中国の工員、遊び人気質が大半の中ー


本気の職人さんがいた。


彼女の手つきは、素晴らしかった。





18年前の上海は、


まだ少しの社会主義の色が残る場所や人で。



私にとっては街も‼︎


全てが衝撃的だった。




喧騒とスピード、建築ラッシュに


薄暗い路地裏も残る上海。




スモッグの中に怪しく光る、川…


街のネオンが反射する


呑み込まれそうに、どす黒い海。




上海の百貨店に行くと、


日本の昭和の時代に高級品だったような品物が


整然と置かれていて。


そんな場所だけ、


中国の金持ちの別世界みたいに感じた。





上海自体が私には、


エネルギーの中に微妙な退屈・退廃も感じて


摩訶不思議で刺激的だった。






団体旅行で休む暇なく皆と行動を共にして、


一人で上海の景色や人々に圧倒されて


もう、


すぐにホテルでの夕食時間。




知らない人や、他の一人旅の方と会話をしながら


1日目の床についた。



中国のシンプル(簡素)で冷たい


白いコンクリの天井を独り眺めながら。。







その夜、夢を見た。





私は茶色・栗毛のツヤツヤとした


大きな、とっても大きい馬に乗っていた。


ずっと、馬に乗って 走っていた。




その馬は


「くら」も何もついていない野生の馬のようで、


乗っているだけでも足に力が入る。




すると馬が「ヒヒーーーン!!」と


前足を上げて暴れるようなポーズをとったので


私は落ちそうになり、


両足、お尻に凄い力を入れしがみつかなければならなかったー。



それで夢の中、


「痛い〜!! 限界! 落ちる〜〜!!」


そんな感じで、


目が覚めた。




起きると夜中で汗びっしょりで、


現実に、お腹に激痛が走った。




「食あたりしたのかな…」


そう思って、トイレに篭った。




こういう時は 下痢になるかもどすか


やり切らないと身体は落ちつかない。




だけど、いっこうに吐くこともなく


下痢にもならずー


ただお腹がもの凄く痛くて、


冷や汗が止まらなかった。




知らない、言葉も分からない土地で


身体の調子が悪くなるのは一番、辛い。




一人で不安でたまらなくなったので、


夜中だったけれどガイドさんの携帯に


電話をした。



日本語がペラペラの中国人の若いガイドさんは、


すぐさまホテルの人に私の腹痛を伝えてくれた。




何の薬かわからないけれど


鎮痛薬みたいなのをホテルの人が


部屋まで持ってきてくれた。



それでやっと、眠ることができた。





(中編に、つづく)