友達。


二十歳の大学生ユンと仲良くなってからセブ島を経つまでの一ヶ月半、この短い期間に詰め込まれた出会いや出来事の数、そしてその一つ一つの濃さはもう今後の人生でもなかなか経験できることではないんじゃないかと思う


もしあんな一ヶ月半をまた経験できるとしたらそれはとても楽しみな話だけれど


激動であったし、そのどれも自分の記憶に強く焼きついて消えない1ヶ月半だった


もう留学生活も終盤戦に突入していた自分に降りかかったまさかのラストパート



彼女ってやつ


当時26の自分が人生で一度も経験したことのない彼女、交際ってやつを誰よりも渇望していたことは容易く想像できる


そもそも人と話すことが怖くて高校の頃からずっと社会生活から遠のいていた自分にとっては学校的な大きなコミュニティ内でたくさんの友達と学生生活を送ることも、ましてや恋愛なんて夢のまた夢、そんな自分にまるで中学生の初恋のようなお子様な恋愛が留学生活の最後に待ち構えていた


これを書いている32の時点でも5年前当時と大した違いはないんだけれど、まあそれには本人も驚愕だわ、まあ、それはね、おいおいね


と、その前に書いておくべきことが


ユンと過ごすようになってからは休みは毎回適当に二人でフラフラとモール行ったり日本仕様の銭湯があるっていうから行ってみたりカフェで一緒に勉強してみたり、遊び始めたその瞬間からまるで昔からの馴染みのように過ごしていた














その学校は一階窓口に留学生活中に各国の生徒の事務処理や相談などに対応するため、英語ではなくそれぞれの国の言語で対応できる事務スタッフを窓口別に配置していた


韓国、日本、中国/台湾、タイ


それぞれのスタッフは1日の半分は普通の生徒と同じく語学留学生として授業を受けて、残りの半分はオフィスで仕事をするというシステムだ


仕事をする代わりに従業料や食事、寮など生活費までタダ、なんなら少しの給料を貰えるというもので、お金をかけずに英語を学び留学生活を送るという非常にスマートなシステム


まあ公募しているものでもないし一人雇っていたらその枠はないので運と縁とタイミング、そう言う意味ではかなり狭き門だ


とある日に何かしようと思っていたのかオフィス前でウロウロしていたら高校生くらいだろうか?まだ若い爽やかな青年が日本人サポートの窓口からサポートが必要がどうか尋ねてきた


見ない顔だったので直近で日本人サポートの学生マネージャーに就いたんだろうなってくらいに思っていたんだけど


また別のタイミングでは校内のカフェの一番奥で一人本を読んでいた彼を見かけたので興味深くなって話しかけた


人と群れて楽しそうにしている人にはむしろまるっきり興味が湧かず話しかけようとは思わない自分からすると話しかけるには十分な動機だった


なんて話しかけたかは覚えてないけれど、学生マネージャーであることを知っていたのでそれについて"最近就いたんですか?"みたいな切り口だったように思う


ほんの少しの時間彼と会話した。彼もまたゆんと同じく会話の早い段階で在日韓国人であることを口にしていたので"おれの仲良くしてるやつも韓国人だから今度紹介するよ"なんて言ってたかも


話の流れからか学生マネージャーのシステムを知らなかった自分にサラッとそのシステムを説明してその良さや旨みを伝えてくれた


とはいえそこで初めて話したので距離感というか、まだまだ知らない人と話している感じというか、まあユンのような初回からいい意味でまるで距離感を感じないやつなんてむしろそっちの方が珍しいわけだけど、彼は知らない人と距離を保って話しているような、そんな感じだった


キムセファン。