”尊厳死協会に入っているので”
といわれると困ったなあと思うことが多々あります。
いままで臨床医をしてきて、尊厳死協会に入っているといってきた方で
尊厳死がどんなものであるかを理解し、実際に尊厳死をした方を見たことがありません。
循環器だからかもしれません。(これはまた別の機会に触れたいと思います)
自分がどのようにして死にたい、ということを考えることはとても良いことだと思いますが
尊厳死を目的に治療を断る場合はそれなりの覚悟と準備がいることが理解されていないと思います。
こんなことがありました。
80代の女性が胸が痛い、と言ってほかの病院にかかった結果心筋梗塞を疑われて私の勤務している病院へ紹介されてきました。
たしかに症状や検査の結果、重症ではないですが心筋梗塞を起こしている可能性が否定できない状態でした。
現在、高齢者でも心筋梗塞をきたした場合は心臓カテーテル治療で血流を速やかに改善すれば良好な結果が得られることが知られています。
そのことを踏まえ、カテーテル治療を紹介元の先生もこちらの病院へ紹介していただいたので、カテーテル治療を前提としたお話をしました。
カテーテル治療に関して細かい話をすることがこのブログの目的ではないので、詳細は国立循環器センターのページを参照していただくとわかりやすいと思います。
芸能人ではアナウンサーの徳光さんや最近ではタレントの関根勤さんがした治療です。
www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph44.html
手首から管を入れて心臓の血管を治療する方法で、局所麻酔で済みますので80歳代でも十分な適応があります。
そうしたら”尊厳死協会に入っているのでそんな治療はしたくない”と言われました。
さあ、困りました。
どう困ったかは次に書いていきます。