八月の銀の雪
著者:伊与原新
出版社 新潮社; 文庫版 (2023/5/29)
発売日 2023/5/29
言語 日本語
文庫 352ページ
本の概要
「お祈りメール」の不採用通知が届いた大学生は、焦りと不安に苛まれていた。
2歳の娘を抱えるシングルマザーは、「すみません」が口癖になった。
不動産会社の契約社員は、自分が何をしたいのか分からなくなっていた……。
辛くても、うまく喋れなくても、
否定されても邪慳にされても、
僕は、耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。見えない磁場に感応するハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルを吹き続ける偏西風の永遠に――。
科学の普遍的な知が、傷つき弱った心に光を射しこんでいく。表題作の他「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の傑作五編。
初めましての作家さん、伊与原新。
『宙わたる教室』2024.03.03の記事に惹かれて、Halさまへのコメントでオススメのお返事を頂き、文庫本を購入。
5編短編集
【目次】
・八月の銀の雪
・海へ還る日
・アルノーと檸檬
・玻璃を拾うハリヲヒロウ
・十万年の西風
『八月の銀の雪』では
地球のコアの研究のところで、地球の成り立ちを知り
『海へ還る日』では
クジラの世界や海の世界を知り
『アルノーと檸檬』では
伝書バトや鳥の能力を知り
『瑠璃を拾う』では
植物プランクトンの一種、珪藻の世界を知り
『十万年の西風』では
風船爆弾の恐ろしさを知り
研究者、科学者、優れた能力のある学者たちの能力を軍事目的で使われた時代に心が痛んだ。
どんな素晴らしい成果を上げた人にも、何も成し遂げられないと嘆く人にも、それぞれに苦しみや悲しみがあり、その殻の中で嘆いていて解決のヒントが見つからずさまよってしまう。
だからこそ、誰かに出会い心を向けることで、気づきがあり、立ち止まっていた場所から少しでも動くことができる可能性があるのだと本書でも、気づきを得た。
苦手かもと、、勝手に決め込んで話しに耳を塞いでしまっていては勿体無い。
難しいとか、苦手とか、先入観をできる限り取り除いて、チャンスがあれば五感を向けていこうと思った。
難しい内容はあったけれど、人とひととの優しさに感じ、ほっとして読み終えました。