ぼくは青くて透明で
著者:窪美澄
出版社 文藝春秋 (2024/1/16)
発売日 2024/1/16
言語 日本語
単行本 256ページ
本の概要
高校一年の夏、ぼくは彼に恋をした。
「ぼく」(羽田海)は、血の繋がらない継母の美佐子さんと二人暮らしをしている。
ぼくが高校一年の夏に、美佐子さんの仕事の都合で引っ越しをすることになった。前の町で美佐子さんが勤めていた印刷会社が倒産したのだ。
幼いころは父さんと母さんがいたけれど、ぼくが六歳のときに母さんは家を出ていき、その後美佐子さんと結婚した父さんもどこかに行ってしまった。
勉強も好きじゃないし、運動も得意じゃない。いつか美佐子さんとも離れなくちゃいけない。
そんなとき、「ぼく」は、転校先の高校で忍と出会った……。出会ってしまった。
わぐまさまの記事2024.03.09に惹かれて図書館本。
窪美澄作品、7作目。
同性愛
オタク
枠に、はまった家庭環境
母親が子どもを置いて出ていく
父親が子どもを置いて出ていく
人にはそれぞれ、知られたくないことがあるのかもしれない。
知られたくないという気持ちは、理解されないだろう、はじかれてしまうだろうと思う恐怖の心かもしれない。
恥ずかしいと思う気持ちが先になり、閉ざしてしまう。
いざ、決心して打ち明けてみたら、なんてこともなく、さらりと受け止めてくれたりすることもあったり、逆に、衝撃的な反応と言葉で打ちのめされたり。
海の父親のように考えられる人は多いのか少ないのか、わたしにはわからない。
絶対的に安心できる父親であるのに、まさか、置き去りにしていくなんてことをしてしまうところが残念。
素敵なところや、残念なところ、両方もっているものが人間なのだと、再認識した。
海の継母である美佐子もまた、海の個性をさらりと受け止めている絶対的に安心できる存在。
海は美佐子のことを血が繋がっていないから、受け止めてくれていると思っているが、たぶん違う気がする。
美佐子は美佐子なのだと、わたしは感じた。
同性愛を嫌悪するのも、間違いではないと思う。
しかし、否定することは間違いだと思う。
LGBTQ+
多様性
言葉ばかりが先走りすぎて、何でもかんでも主張したり、受け入れるのが正しいという風潮に危険を感じる今日この頃。
海と忍は、ただ好き同士の恋愛をしている。
それだけのこと。
嫌悪なのか?世間体なのか?忍のことを受け入れられない親もまた、苦しいのだと思う。