ペンギンは空を見上げる
著者:八重野 統摩
出版社 東京創元社 (2018/5/21)
発売日 2018/5/21
言語 日本語
単行本 258ページ
本の概要
将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船宇宙撮影を目指しています。ハルくんは意地っ張りなこともあって、同じクラスに友達はひとりしかいません。しかし、あることをきっかけに、クラスのだれとも話そうとしない、金髪の転校生の女の子に妙になつかれました。結局、撮影は三人で挑むことになりますが……。ハルくんの、夢と努力の物語。奮闘するこの少年を、きっと応援したくなるはずです――読み終えたあとは、もっと。
読書家ブロガーさまの記事に惹かれて図書館本。
『文庫本のあとがき』も、よかったとのことで、いざ!文庫本を予約しようとしたら、蔵書はあるのに、「予約できない」と表示されていて残念。
単行本をお借りしました。
我が町図書館、、お借りしたい本が無いことが多く、あったとしても予約できないって、、
読書も初心者🔰図書館利用も初心者🔰
それでも、図書館でお借りできる喜びをしみじみと味わいましょう!
三好くんの存在が良いーー!
ハルにはかけがえのない存在だと感じた。
三好くんにとっても、ハルはかけがえのない存在なのかもしれない。
ハルの祖父や両親も、ハルを見守っていて、優しさも厳しさも強く押し出していないけれど、芯はぶれていないところが素敵な家族だなぁと感じられた。
優しさの表現は人それぞれ違って、その優しさに気づいたり、受け入れたりできる人間でありたいと思う。三好くんとハルのように。
物心ついた頃からの夢が、ある日絶対に叶わないと知った時の衝撃を小学校入学直前の年齢で受けたハル。
不安や憤りをどこへやり過ごしたら良いのか戸惑うハルだが、宇宙への希望を捨てず学び続けているハルはかっこいい。
こどもだから?ではなく、いくつになっても、誰でも、夢や希望を持っていい。そして、叶えるための努力を惜しまないことを忘れずに。決して腐らずに。
備忘録
物心ついた頃からの夢、宇宙飛行士。
その夢が、小学校に入学する直前に泡と消えた。
構音障害者は、宇宙飛行にしなることはできないと。
努力すればどうこうという問題ではなく、絶対になれないのだと。p254
佐倉ハルは生まれつき、宇宙飛行士になれない。
その事実を知ったとき、おれは心の底から神様の存在を憎んだ。努力すれば夢は叶うという言葉が途方もないほどまやかしであると気づいて、絶望した。
こんな身体に産んだ両親のことをほんの一瞬たりとも恨んだことがないと言えば、それは嘘になるだろう。
もしかすると神様は、おれを宇宙から遠ざけるために障害を与えたのかもしれない。自分の障害に思い悩むあまり、そんな歪んだ考えにいたったこともあった。
けれど。
憧れでもあったガガーリンは、地球は青かったという言葉以外に、神は見当たらなかったという言葉をも残していたと知った。
正確に言えば、おれの目指している宇宙空間のどこかに、神様がふわふわと漂っているわけではない、ということ。それなら、神様が与えたおれのこの障害もきっと、おれの宇宙への想いを阻むものではないのだと、おれはそう信じた。
それからおれは、そのガガーリンの言葉を支えにエンジニアを目指すことにした。p255