春の雪
製作年 2005年
製作国 日本
配給 東宝


三島由紀夫の遺作となった「豊饒の海」4部作の第1章「春の海」を原作に描く純愛ロマン。

大正初期。侯爵家の嫡子・松枝清顕と伯爵家の令嬢・綾倉聡子は、幼なじみの関係から淡い恋心を抱くまでになっていた。そんな中、聡子に宮家との縁談話がもちあがる。そんな聡子に、冷たく接する清顕。しかし、彼の態度に失望した聡子が縁談を承諾する段になり、ようやく愛を自覚した彼は激しく彼女を求めるようになる。



聡子は幼少期から清さま(清顕)一途だったように感じたけれど、清顕の捻じ曲がった感情は純愛とは遠く感じた。それも含めての恋なのかもしれないが、聡子があまりにも哀しい。

実らない恋心がふたりの気持ちをさらに燃えあがらせてしまい、破滅へと向かってしまう誰も止められない恐ろしい感情で、昔も今も変わらない気がした。恋愛感情。

大正初期の日本の、今で言うところの上級国民の生活様式が美しく表現されていた。

哀しい物語ではあったけれど、観終わったあとの気持ちは
「美しい」だった。





https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1359/


瀬を早(はや)み 岩にせかるる 滝川(たきがは)の

われても末(すゑ)に 逢はむとぞ思ふ



現代語訳

川の瀬の流れが速く、岩にせき止められた急流が2つに分かれる。しかしまた1つになるように、愛しいあの人と今は分かれても、いつかはきっと再会しようと思っている。




中学生の頃、作者や意味も通りいっぺんだけで、無理矢理覚えさせられた百人一首。



この映画を観て、調べてみた作者:崇徳院の生涯を知ったことも含めて、素敵な映画に出会えたと思った。



恋のうたの奥に、本当の気持ちが込められているような崇徳院の生涯もまた哀しい。