インヘリタンス
劇場公開日:2021年6月11日 111分

原題 Inheritance
製作年 2020年
製作国 アメリカ



「あと1センチの恋」のリリー・コリンズと「ミッション:インポッシブル」シリーズのサイモン・ペッグ共演によるミステリー。

ローレン役をコリンズ、謎の男をペッグがそれぞれ演じる。監督は「アニー・イン・ザ・ターミナル」のボーン・スタイン。


あらすじ
深淵へようこそ。 ニューヨークの政財界に絶大な影響力を持つ銀行家のアーチャー・モンローが急逝した。アーチャーの遺産は妻と政治家の息子、そして地方検事である娘のローレン(リリー・コリンズ)へと相続された。さらに、ローレンへはアーチャーからの「真実は掘り起こすな…」という遺言とともに1本の鍵が遺されていた。ローレンは遺言を頼りに邸宅の裏手に隠された扉を発見する。鍵は地下室への扉を開けるものだった。地下へ足を踏み入れたローレンは、鎖に繋がれた男(サイモン・ペッグ)を発見する。モーガンと名乗る男は、30年に渡りアーチャーの手で監禁されていたと語り始める。果たして、30年前の因縁とは?そこにはモンロー家にまつわる忌まわしき秘密が隠されていた――。





サスペンス系は苦手なんだけど、女優さんが好みだったので観てしまった。

ラストの展開が、恐ろし過ぎて途中で観るのを止めようかと迷ったほど恐ろしかった。

人を疑う、信じる、両方の難しさ。
秘密をひとりで抱え込む難しさ。
閉ざされた空間や時間や心の状態であると、客観的冷静的にものごとを見ることが出来なくなり、悪事に導かれてしまう恐ろしさを知った。
ひとりで抱え込まずに、誰かに相談する事が重要なんだと教えてくれたように思う。

ただ、父親アーチャーが「真実は掘り起こすな」と遺言として残しておきながら、導かせるように残した意図は私には理解出来ない。絶対開けちゃダメと言いながら、その扉の鍵を渡されちゃったら開けたくなるものだ。

アーチャーはモーガンを首輪に繋ぎ地下室に閉じ込めながらも、自分の仕事、家族、愛人のこと全てを話しているという不可思議な言動も理解不能。

ラストでモーガンが「お前の父親は俺なんだ」と言ったすぐあとで、母親が射殺してしまい真実は分からずじまい。
父親アーチャーが「真実は掘り起こすな」と遺しておきながら鍵を渡したのは娘がモーガンの娘である事を知り、モーガンの娘だから不幸になれば良いと執念深く願い、遺産金額を弟の半分にしたのも最後まで陰湿で執念深いアーチャーの心理だったのかと思った。
妻がモーガンにレイプされたことをアーチャーは妻から聞いて知っていた。その時の娘なのか、アーチャーの娘なのかは明かされていないが、モーガンの娘であると、アーチャーとモーガンは認識していた気がする。でないと、最後に「お前の父親は俺なんだ」って言わない気がする。いや、それも口からでまかせかもしれない。

射殺したモーガンを母親が娘にどうする?と尋ねて永遠に葬ることをした母娘の行動もまた理解不能。
自分たちの利益なためなら、人の命や尊厳などなんとも感じない人の心理が私には全くわからない。

久しぶりに、心臓のバクバクする感覚を味わった作品だった。ものすごく怖がりの私は再度観ようとは思えない。