満を持して、随所にちりばめられた、山田洋次監督の、小津安二郎作品「東京物語」への熱い想いが詰まった、「東京家族」を観ました。

 

 

瀬戸内の小島から上京し、自分の子どもたちと久々の対面を果たした老夫婦の姿を通して、現代日本における家族の在り方や絆などを見つめた、山田洋次監督の81作目の監督50周年作品。

 

瀬戸内海の小さな島で生活している夫婦が上京し、子供たちとの再会を果たす。

 

仕事を抱えて忙しい日々を送る、子供たちは、両親の面倒を見られず、2人をホテルに宿泊させることで、父は、やめていた酒を飲んで騒動を起こし、母は、何かと心配していた次男の住まいを訪ね、そこで、恋人を紹介される。

 

小津安二郎監督が、戦争の不穏な影を描いたのに対して、山田洋次監督は、撮影された時期も影響してか、今作が、震災の影を描いているところや、それぞれの作品で、現代に合わせた、心憎い人物の設定の違いを、違和感なく、見事に描かれていました。

 

父からは、長く出来損ないのように見えていた、次男が、家族の中で、さりげなく誰よりも優しさに溢れていることに、気が付くシーンは、心に残りました。