映画「サンセット大通り」を観ました。


往年のサイレント時代の大スターが、今は落ちぶれて、ただっ広い誰もいない屋敷の中で、過去の幻に囲まれながら生活しているという、ハリウッドの光と影をB・ワイルダー監督が見事に描いた映画です。


豪邸で隠匿生活を送るサイレント映画時代の伝説的女優と、彼女が自身のために書いたシナリオの修正をまかされた売れない脚本家。


ジゴロ気取りで邸宅での日々を過ごしていた脚本家が、仕事だけでなく私生活すら束縛される事に怒りを感じ始めた時、物語は悲劇を迎える。


過去の栄光だけを糧として生きる忘れられたスター、ノーマ・デスモンドや彼女の召使(実は、元の旦那)、脚本家と恋に落ちる女性などの人物設定など、オスカーに輝いた脚本の構成は素晴らしく、過去の栄光にしがみつくその姿は、哀れでもあります。


映画の中では、パラマウントのスタジオが登場したり、主人公の映画女優をグロリア・スワンソンというサイレント映画時代の大女優が演じているのが、凄いです。


過去の栄光にいつまでもしがみつくその姿は、スポットライトを浴びたスターの誰もが通る道。


自らの老いや時代の変化、誰からも忘れ去られるというその恐怖が、この映画から恐ろしいまでに伝わってきました。