3年ほど前に、瀬戸内寂聴さんの講演会がききたくなり、店からちょっと距離がある場所のチケットを手に入れました。


店のお昼の忙しい時間が落ち着いてから店を閉めて行っても間に合うと思っていましたが、駅から会場までバスだったりして、会場に着いたら、その講演が終わたばかりで、寂聴ファンのオバサマ達が会場からたくさん出てきたところでした。


仕方がないので、入場時、寂聴さんの著書がいただけるということだったので、事情をお話し、受け取ったのが、小学館の「素顔の寂聴さん」、プライベート写真と寂聴さんの伝えたい心の言葉が書かれていました。


その著書の3倍以上のチケット代だったので、当時さらりと読んで、あまり心に残らなかった言葉が、先月から続く今の状況の中であらためて読み返してみると、ずっしりとくることに気がつき、皆さんに、2回に分けて、特に僕が感銘した寂聴さんの言葉を紹介したいと思いました。


本は、愛・心・生・仏と4つのテーマ別に別れて、寂聴さんのプライベート写真と共に、言葉が紹介されています。


その心に残る言葉をいつものように付箋を付けながら読み進めると、その内の心と生の2つのテーマばかりにそれが集中していました。


ですので、まず、その寂聴さんの心というテーマの言葉を、まず最初に、以下、紹介します。


● 心 時間こそが心の傷の妙薬なのです。


・どんな悲しみや苦しみも、必ず歳月が癒してくれます。そのことを京都では「日にち薬」と呼びます。時間こそが心の傷の妙薬なのです。


・病気の人を見舞ったら、そっと手を握ってあげましょう。その手を通じてあなたの心の温もりが必ず相手に伝わります。そうすれば病人は安心します。言葉はいらないの。


・不快の原因は、たいてい自分自身にあります。


・女に好かれる女とは、嫉妬を寄せつけないほど自立して、自分自身の力を伸ばしている女ではないだろうか。女が男に好かれるのはたやすいが、女から人気を得るのは難しい。


・桜博士、佐野藤右衛門さんの話。

「桜は人間といっしょどっせ。十代までは勝手気ままに育って、二十代で体力がつき、三十代でほんまの花が咲きます。三十代から六十代は桜がいちばん華やかなときですわ。七十代になって生き残った桜は、そんなに仰山花はつけず、風格と品格がそなわります」


・人が死ぬとき、その人の心に残る過去の温かな想い出が押し寄せてきて、魂をその波にのせ、あの世へ運び去ってくれるのではないだろうか。


・旅は恋と似ています。旅を好む人は、すべて詩人です。旅はまた、死にも通じています。還らぬ旅に出る、ということばを考え出したのは、どこの詩人なのでしょう。

 孤独で淋しいと思うときは、旅をするのが何よりです。旅は自然が淋しい心や疲れた体を、やさしく包み込んでくれるし、気分転換が出来るし、思いがけない縁でいいお友だちにも恵まれます。淋しいときは旅にお出なさい。


・無理に頑張らなくてもいいのです。辛いときは思いきり泣きなさい。無理に頑張っても身体がついて行きません。心だってついて来ないのです。


僕と同じように、寂聴さんの言葉が心に残りましたか?


これらは、寂聴さんの言葉のほんの一部、また続けて、生をテーマにした言葉も、別の日に紹介したいと思っています。