1日に映画を3本観るような私にとって面白い映画ってなんなんだろうか?

 

まず、結論からいえば、「映画を観てる2時間、騙してくれればよい」のである。

これは非常に大事なことだ。

 

まず、映画とは、作り物である。これを大事な前提にしたい。作り物だ。現実ではない。仮にドキュメンタリーでも、カメラを向けた瞬間、作り物になる。カメラにはそういう特性があるのだ。

なので、いわゆる「リアリティ」はあんまり重要ではない。なぜなら、ここで語られるリアリティというのは、しょせん「作り物の映画におけるリアリティ」に過ぎないからだ。

些末なリアリティにこだわるあまりに、映画の作り物としての面白さが失われるのは本末転倒である。

なので、「映画を観てる間は納得できる程度」のリアリティで良いのだ。

 

これは科学技術の描写とか、色んな理屈であったり、登場人物の行動理由も同じだ。

映画を観てる間は「そうだそうだ!」と観てる私を納得させて盛り上げてほしい。

観てるうちから「え?なんで、そういう行動になるの?」となるのはダメ映画である。熱中させきれてないからだ。

ま、それはネタ映画として始めからバカにする視点で観ることも可能だけどね。

 

でも、「ネタ映画」というのは実は危うい存在で、製作陣が初めから「ネタ映画」として取り組むと、それはもう目も当てられないような真のクソ映画になってしまう。ネタ視点で観てもまったく面白くないクソの産物になり果てる。

なので、あくまで映画というのは製作陣が命を懸けて一生懸命に作らねばならない。

 

で、本筋に戻ると、ようは「映画の勢いに引っ張られて観客がバカになる映画」が面白い映画なのだ。

 

さらに、観客を裏切ってほしい。映画も中盤になれば「こいつとこいつは生き残って、あいつは死ぬな」とか先の展開が読めるじゃん。それを裏切ってほしいのよ。じゃないと、自分の予想をなぞるだけで全然面白くない。

 

だって、こちとら映画を何千本も観てきたのだから、展開が読める。それを上回れよ。

 

好例を挙げたい。やはり『コマンドー』である。

この映画は後で振り返るとムチャクチャなのだが、観てる最中は何にも疑問を持たない。

さらに裏切りがある。飛行機から飛び降りるシーンである。

今では至高のネタ映画となった感さえあるが、この映画は非常に高品質のエンタメ作品であり、貶めてはならない。

ここには映画の本質のほぼすべてがある。

まさに「観てる間は観客が馬鹿になる」映画なのだ。

銃を撃ちまくるシーンは最高のカタルシスである。