いわゆる超クラシックな名作映画として有名ですが、初見。

なんか、観る気になったんで視聴。

 

まず、オープニングから時代を感じます。

別に古い、という意味ではなく、この60年代という時代を感じるのです。

それは何かというと、「ゆっくりと時間が流れる」ということ。

まず、映画冒頭5分は序曲が流れるだけ。

さらに、映像が出てきたと思ったら、街並みを空撮で映す。それを延々3分くらい見せる。

 

今の映画だとありえないですね。絶対に、空撮は冒頭10秒、そしてすぐにシーン切り替わってダンスシーンでしょうね。

 

でも、60年代はこれでよかったんです。チカチカとカットをコマック切り刻むような編集もないし、やかましい効果門もない。

 

で、「ミュージカル映画」というのはどうしても好き嫌いが分かれます。

よく言われるのは「なんで急に歌い出すの?」ということですよね。

まあ、私はそこは気にしません。そんなこと言いだしたら「なんで宇宙人が英語話すの?」とか「ナチスなのになんで英語話すの?」みたいなことと同じですから。これは映画という作り物なんだから、というエクスキューズですよね。

 

でもね、それを踏まえてもなお、好き嫌いが出ます。というのも、ミュージカル映画はそれ以外の映画に比べても「虚構性」、すなわり作り物感が非常に強いのです。

特に、この時代だと顕著で、突然歌い出すだけならまだしも、歌う場面以外の演技も、フツーの演技ではないのです。

そう、これは演劇なんですよ。

舞台のための演技なんです。それを映画でやられると、苦しいですよね。馬鹿にしたくなる気持ちも分かる。

特に、殴り合う場面は滑稽。お前ら本気で戦う気あんのかと思います。

 

でも、この映画が評価されてるのって、映画の質ではなく、「演劇を映画上で再現した」ことなんじゃないですかね?

もちろん、歌唱シーンも素晴らしいのはたくさんある(すべてではない)。

「アメリカ」とか「トゥナイト」とかは素晴らしい。

 

でも、やはり、歌うことの不自然さを感じるシーンもある。トニーが人殺した直後にマリアのところに行って自白する場面でも笑顔で歌うし。笑うなよww

あとそのあとの「クール」のシーンもさ、なんか大げさで付き合ってられない感が濃厚。

 

でもこれが舞台として観るなら、アリなんですよね。

この辺が人間のすごいところで、媒体ごとに求めるリアリティーを自然と切り替えて鑑賞してるんですよ。

つまり、舞台・演劇なら大げさな演技を受け入れられるんです。だって、変にリアルに顔の表情を微妙に変えたり、ボソっと喋られても聞こえねえから。

劇場全体の客に分からせるためには大げさな表情と大げさな演技が必要なんですよ。

 

でも、映画にはクローズアップがあるのでね。そこで大げさなことやられると観てるコッチは興ざめするんですな。

 

ただ、テーマ自体は現代的ですよね。拡大解釈すれば、貧民や移民の問題ですよね。

さらに、ガキどもの抗争というやつね。日本でいえば漫画のクローズとか、湘南爆走族とかのアホ不良漫画の系譜ですね。

映画で言えばその後の『ストリート・オブ・ファイヤー』とか『ウォリアーズ』ですよね。