ジュジュという無職の中年男。いまだに親に食わせてもらっている。

その親友の芸術家。こいつも何の仕事か分からん。無職だろう。

そいつの家に強盗殺人犯のピエロが押入る。

銃で脅されて匿うが、ジュジュはなぜかピエロを一生懸命に介護する。

服を買い与えるし、体調を崩せば熱心に看病するし、海外逃亡の手助けまでしてあげる。

 

そもそもジュジュ自体が無職、中年、独身、酒浸り、とかなりド底辺なくせに、なぜ熱心にピエロを扱うのか?

これは2つの理由でしょう。一つは、「自分よりもミジメな奴を助けたい」ということ。自分より弱い人間を見るとなんか勇気が湧くでしょ?ま、哀れみ、というやつ。それと人を助けることで自分も救われるみたいな感覚。

もう一つは、明らかに男色です。ジュジュはホモです。芸術家のこともおそらくはホモ目線で見てたんでしょうけど、若いピエロについてはさらに肉欲的な感情が先走ってるんでしょうね。シャワー浴びるところもガン見してたし。

 

半地下から女の足を覗き見るのは後のトリュフォーの『日曜日が待ち遠しい』でしょうね。

 

殺人犯のピエロにやたらと優しいけど、コイツ自体はまったく感情移入できない、イヤな奴である。

別にやむに已まれずに犯罪を犯したわけでもなく、ただ粗悪で粗暴でバカなだけなのだ。

こんなヤツを匿うジュジュはやはりオカシイ。ピエロが実はいい奴、でもないんだからさ。

 

でも、これは当時のフランスのお国性なのか、時代性なのか、こういうならず者にも優しくしようみたいな風潮があったのかな。