村上龍は好きである。

最初に読んだのは高専3年生のとき。学校の図書館で借りたのが『トパーズ』。最初に読むのにはヘビー過ぎる。

ぶっちゃけトラウマです。あの「モンシロチョウ」って題のやつね。ホテトル嬢を眠らせて両足首を切断してそこに不思議なスプレーをして、男がボウルにウンコしてそれを女の口に押し込む、というシーンがあるのだ。

もう本当にトラウマで怖くて、本当にこんな世界があるの?って感じで心臓がバクバクした。

 

で、数えると長編は35作くらい読んでるので述べていく。

 

限りなく透明に近いブルー

ほとんど観念小説。大麻、LSDの摂取描写はおそらく実体験でしょう。文体はかなり完成形に近く、読んでるだけで体からエネルギーが沸き上がって来るのがすごいし、大好き。

 

海の向こうで戦争が始まる

観念小説の完成形。特定のストーリーはなく、群衆の様子を延々と描き続ける。ほとんどドキュメンタリー。おそらく、無r神龍としては、「ストーリーを持たないまま、どこまで書けるのか?」という挑戦なんだと思う。そしてそれは見事成功した。

 

コインロッカー・ベイビーズ

世評では最高傑作。男2人と女1人というモチーフはその後の『幻想のファシズム』に直系で受け継がれる。面白いよね。上巻の最終盤はすさまじいドライブ感を感じますよね。ハシが自分の舌をハサミでちょん切るシーンは今でも覚えている。あと、アネモネとキクがキスしたときにアネモネがキクの舌を噛むんですよね。そんでキクが怒ってアネモネをぶん殴るんですよね。あとアネモネがバスタブに鰐を飼育してます。

 

だいじょうぶマイ・フレンド

デキは悪いが、面白い。あるブログでは「失敗作だが駄作ではない」というのがあり共感。当時SFの超大流行をとらえてる。深作欣二だって『宇宙からのメッセージ』を作ったんだからwwこれは作者の息抜きとしてとらえてます。『コインロッカー』路線をこれ以上進むと自殺しちゃうんじゃないかな。その意味で身を守るために方向転換したんだと思う。

 

テニスボーイの憂鬱

このあたりから「俗っぽさ」が出てくる。著作の中でダントツで軽薄な作品。裕福なステーキ経営者が不倫して孕ませて堕胎させる話である。男の身勝手さを延々と描く。不倫相手を愛しているが、家庭を捨てる勇気がない、という男の本音を書いているが、その結果に提示されるモノは「何もない」。つまり、不倫は「何もない」のである。一人目の不倫相手と別れて傷心の男が、行きずりの女とヤろうとしたらそいつがスソガであまりのマン臭にゲロ吐いてしまうシーンは鮮烈に覚えている。

 

愛と幻想のファシズム

今につながる経済や軍事、政治をぶち込んだ傑作。色んなメディア作品への影響がある。私的にはこれが最高傑作かな。というのも、経済・軍事・政治小説の第一歩なので、まだ洗練はないが、その分ゴツゴツとした印象がある。狩猟シーンは大藪春彦からの影響アリと見る。自白剤を飲まされて発狂する政治家が鮮烈。口が回らずに「おおおおおおおおおおおお俺は、すっすすすすすす、すすすぐに・・・」みたいに。

 

69sixty nine

青春回想モノ。おそらく実話も入ってるんでしょう。もちろん「校長室の机にクソをした」と大きなフォントで出てくるのは笑った。殺人、ドラッグ、SMは出てこないので、フツーの人には読みやすいと思う。

 

ラッフルズホテル

後の『メランコリア』とか『イビサ』系統の習作かな。これ自体はほとんど読むものはない。頭のおかしい女から逃げる中年男の話。

 

コックサッカーブルース

きました、トラウマ小説ww頭おかしいよ。狂ってる。バケツ一杯のクソを食う、というシーンは頭にこびりついてます。「ドラゴンツリーフェスティバル」という名前もカッコいい。さらに、死者の腕や足をテレパシー的なイメージに結び付けて叩きつける、というのが、後の『イビサ』でしょう。SMの最初かな、これが。

 

超電導ナイトクラブ

これは『テニスボーイ』から流れをくむ「軽薄小説」ですね。バブリーな香りがしますね。基本的には飲み屋での馬鹿話。ある種、当時の風俗を反映した時代モノですね。

 

イビサ

これは読むのに時間がかかった。異常なまでに時間を要したんです。作者も書くのに「ターボチャージャーも使った」と書くくらい。つまり、ヤクやった?wwwここに出てくるのは最強の女ですね。最後に四肢切断されて美女ダルマとして金持ちに飼育されるが自尊心は持っているのだ。

 

長崎オランダ村

うーん。どうでもいい作品ですね。このあたりから、かなり作品数が増えます。で、作風的にはかなり枯れているイメージ。人間の情緒を描写することよりも、行動の描写に偏執してますね。この作品はクソの部類。たぶん思い付きで書いてる。

 

エクスタシー

SMシリーズの1作目。このあたりで、自我とか、自覚とか、個人の能力みたいな話が多く出てくる。麻薬の入ったコンドームが胃の中で爆発するのはこれだったっけ?2作目か。

 

フィジーの小人

これもトラウマ。本当に驚いた。たしか、村上龍で2番目に読んだ。もうね、ぶっ飛んだ。意味が分からなかった。最序盤の恥をレインコートのように纏うみたいな描写は美しい。しかし、前半の前半くらいから醜女に囚われてスカトロ、SM、アナル、BDSMと変態のフルコース描写が延々200ページくらい続く。疲れるよ!

 

368Y Par4 第2打

ゴルフ小説。これはなんつーか、ほとんど頭を使わずに手癖だけで書いたような小説ですねww特に語ることさえ無いですwwww

 

長くなったからここまで。