これまたミケランジェロ・アントニオーニ監督。

 

とある女性が女優になり、人気になったかと思うとあっという間に凋落していく映画。

 

とある映画プロデューサーがブティックで働く女を女優にスカウトし、さらには結婚し、しかし女優としての立場に嫉妬していくんですが、これって実在の映画人を批判・批評してるんではなかろうか。

 

というのも、有名な例ではイタリア女優のソフィア・ローレンとかクラウディア・カルディナーレは当時の大プロデューサーと結婚してのし上がりましたよね。おそらく彼女らの結婚はこの映画の後だとは思うんですけど、すでに映画界では起こってた事柄なんでしょうね。

 

で、女は別に愛してもいないプロデューサーと強引に結婚させられたので、当然浮気するわけです。

で、この浮気相手が非常に軽薄な野郎で、女が「夫と離婚するから一緒になりましょう」と言ってくると、「ちょっと待てよ、僕は何もそこまで・・・」みたいに及び腰になるんですよ。

これって男女の違いが面白い。だって、家庭を持つ男と不倫してる女って「奥さんとまだ別れないの?」とかうるさいでしょ。

つまり、やっぱり女は家庭を持ちたいんですかね。不思議です。

 

こういう女優の成り上がり映画ってのはいくつもあって、だいたいそういう女は利己的でずる賢く、すさまじい上昇志向を持っているもんなんですが、この映画はそうではなく、女は演技力がなく、ただ顔がイイだけで、いわば、映画界にはあまたいる「使い捨て」される女優なんですよね。

なので、『ダーリング』みたいにはならず、別れた夫にまで仕事をくれ、と請いに行きます。

 

そういう情けなさを描くのがアントニオーニ先輩なわけですわ。