日本映画史を振り返る時、40~60年代の、「黒澤、溝口、小津、成瀬」がそろい踏みしたこの時代を全盛期と見る向きに異論はないだろう。

 

でも、果たして日本人の何人がこの監督たちの作品を観ているか・・・。

 

でも、この監督以外にもたくさん映画人はいたわけで、その中で私がえらく感動した2本を挙げたい。

 

『女の勲章』1961年

この映画の何がすごいって、悪い男を演じる田宮二郎がすごい。この時代の男優って、演技ヘタ男ばかりなんだが、田宮二郎だけは別格にウマイ。うますぎる。いわゆる女殺しタイプで、女を道具・金づるくらいにしか思っておらず、自分の出世のために女の人生を食い破っていく悪漢ぶりが本当に素晴らしい。

 

『しとやかな獣』1962年

本物の傑作。ぶっ飛んだ演出がいくつかあり、それは笑えるし、怖い。明らかに韓国映画『パラサイト』への影響大。この映画も演技が素晴らしいが、一番は夫役・伊藤雄之助だろう。なんとも情けない夫なのだが、自分の子供に悪事を働かせ私腹を肥やすさまは、『仁義なき戦い』の金子信夫に並ぶ。若尾文子はかわいいし、最高。射精したい。