私のベスト作家は大藪春彦。

最高も最高、傑作、名作、凡作、駄作、すべて入り混じっての大藪春彦である。

私は自然の中でのサバイバルとかキャンプが好きなので、地味ながらも『ヘッドハンター』が好き。

ああいう狩猟ノベルをあと50冊は書いてほしかった。

 

といっても、大藪春彦との出会いはちょっと紆余曲折があった。

そもそもは、角川映画版の、つまりは松田優作主演の『野獣死すべし』と『蘇る金狼』という2本の映画だった。

では、なぜこの映画を観ようかと思ったかというと、松田優作に興味が湧いたからである。

なぜ、松田優作に、というと、当時聴いていた「くりぃむしちゅーのANN」の影響なのである。

 

つまり、くりぃむしちゅー→松田優作→大藪春彦という順番なのだ。

しかも、原作小説を読まずに映画を観たもんで、後に小説を読んだ時の驚きは大きかった。

まず、『蘇る金狼』。映画では最後に朝倉は女に刺されて死ぬ。しかし、小説ではまんまと逃げきってハッピー結末。

「え?そんなのアリ?」って感じだったな、アレは。だって、さんざん悪事を働いてきてお咎めなしですからね。

 

でも、最大の衝撃は『野獣死すべし』ですね。完全に別物ですから。人物名と、銀行強盗と相棒が出てくる、という以外はまったく関係なし。つーか、松田優作による伊達邦彦の造詣が完全に関係なし。

おそらく、原作では深堀りされない「伊達邦彦の異常性」に着目して、完全に浮世離れした風に演技プランを作ったんだろうけど、それじゃあハードボイルドアクションにはならんわな・・・。強そうじゃねえし。

映画では有名な電車の中のリップ・ヴァ・・ウィンクルの話も小説には一切出てきませんwww

あの意味不明ラストももちろんありません。

小説版の最後は警察たちとの激しい銃撃戦でしたよね。まあ、あれは明らかに伊達の死を暗示してます。

なので、次の『血の訪問者』もそうですけど、ラストの結婚式で警察がなだれこんできてるので、なんかパラレルワールドというか、仕切り直しというかそんな感じですよね。

 

大藪春彦ですけど、サイコーです。

何より、角川映画になった2本の小説のタイトルが最高でしょ。『野獣死すべし』『蘇る金狼』。

まあ、内容には関係ないですけどねwwwww

 

というのも、今、1959年版の仲代達也主演の『野獣死すべし』を20分くらい観てるんです。

面白い!まさに原作に沿った映画化!このころの仲代達也はさながらアラン・ドロンのいでたち。

目線だけで女を惚れさせる妖しさがあります。